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『べらぼう』新之助(井之脇海)がうつせみ(小野花梨)と駆け落ちするシーンに視聴者最注目 第9話画面注視データを分析

2025年03月09日06時00分 / 提供:マイナビニュース

●「ただ、幸せになりたくて…」
テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、2日に放送されたNHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(総合 毎週日曜20:00~ほか)の第9話「玉菊燈籠恋の地獄」の視聴者分析をまとめた。

○うつせみが責め続けられる姿を見て心を決めた瀬川

最も注目されたのは20時33分で、注目度74.0%。小田新之助(井之脇海)がうつせみ(小野花梨)と駆け落ちするシーンだ。

新之助は同じ長屋に住むひさ(東雲うみ)の協力を得て通行切手を入手した。この通行手形があれば、うつせみを連れて吉原から逃げ出すことができる。最後の客の相手を終えたうつせみは松葉屋をこっそりと出て新之助と合流し、明け方になると2人は件の通行切手を使って大門を抜け出すと手を取り合って駆けだした。

さらに日が昇ったころ、松葉屋では蔦重(横浜流星)が女郎たちに貸本を見繕っていた。起き上がってきた瀬川(小芝風花)に、蔦重が『天網島』を渡すと、表紙をめくった瀬川は目を見開いた。そこには偽造した通行切手が挟まれていたのだ。くしくも新之助に通行切手を手配した蔦重は、新之助とまったく同じことを考えていた。

「うつせみ!」いね(水野美紀)が大きな声を上げて2階から下りてくる。「誰かあの子を見なかったかい」いねの慌てようはただごとではなかった。うつせみの行方を知る者はおらず、いねはうつせみが足抜けを図ったと悟った。

一方、懸命に走り続ける新之助とうつせみだったが、一休みしていたところを追っ手に捕まり、うつせみはあえなく松葉屋へ連れ戻される。いねのはげしい仕置きを受け、「ただ、幸せになりたくて…」と漏らすうつせみに、他の女郎たちの視線は冷たい。「ろくな暮らしなんてできないよ。あんた養おうとあいつは博打。あいつ養おうとあんたは夜鷹。成れの果てなんて、そんなもんさ。それが幸せか?ああ?幸せか?それのどこが幸せなんだって聞いてんだよ!」いねはひたすらにうつせみを責め続けた。その様子を見て瀬川は心を決めた。

○2組の悲恋に同情するコメントが続出

注目された理由は、新之助とうつせみの道ならぬ恋の行方に、視聴者の注目が集まったと考えられる。

うつせみが客の1人から異常な求めをされていると知った新之助は、うつせみを身請けしたいと考え蔦重に相談します。しかし、身請けに必要な身代金は300両という途方もない大金だった。貧乏浪人である新之助にとても用意できる額ではない。結局、新之助が思いついたのは、「玉菊灯籠」のけん騒にまぎれて足抜けするというリスクの高い方法だった。そして、瀬川への想いに気づいた蔦重もまた、足抜けを考えていた。

SNSでは、「蔦重と瀬川、新之助とうつせみどっちも切ない」「今回のべらぼう、しんどすぎてまだまだひきずりそう」「あのままだと蔦重と新之助は指をくわえて眺めるしかできないから、仕方ないのかな」と、2組の悲恋に同情するコメントが多く集まった。いつの世も身分ちがいの恋愛は困難だ。昨年のまひろと道長(こちらは2人とも貴族だが)を彷彿とさせる。

今回のタイトルとなった「玉菊灯籠」は吉原の年中行事の1つ。才色兼備だった女郎「玉菊」を追悼するために引手茶屋の軒ごとに灯籠を連ねた。吉原から女郎が脱走することを足抜けと呼ぶ。足抜けには今回使われた通行切手の偽造のほかに、吉原を囲う壁を越えようとしたり、お歯黒溝に橋をかけるなどがある。中には放火して火に紛れ、その隙に脱走しようとした女郎もいたそうだ。しかしほとんどの場合は3日と経たずに連れ戻され、苛烈な仕置きを受けたようだ。

通行切手は引手茶屋が発行する切手で、女郎以外の女性が大門を出るときに必要になる身分証明書。蔦重と次郎兵衛の蔦屋も大門の側の五十間道にあり、通行切手の発行を行っていた。大門には四郎兵衛会所という小屋があり、番人が常に女郎の逃亡を監視してたのだ。蔦重が瀬川に渡した通行切手には、「しお」という名が記されていた。かつて蔦重が幼いころ、瀬川に贈った「塩売文太物語」の登場人物の1人が「小しお」。蔦重が瀬川に渡した「天網島」は近松門左衛門作の人形浄瑠璃『心中天網島』のセリフなどが書かれた貸本。『心中天網島』は大坂・天満の紙屋の若主人・治兵衛と、曽根崎新地の遊女・小春の悲恋を描いた心中物だ。実際にあった心中事件を題材にしており、近松の作品でも特に傑作として評価されている。「しお」と「天網島」という2つのチョイスからも、蔦重のただならぬ覚悟が伝わってくる。

いねのセリフにあった「夜鷹」とは江戸でも最下級の女郎のこと。夜間に一枚のござをもちいたりして、野外で性的サービスを提供していた。1回の相場は24文といわれている。江戸時代のかけそば1杯が16文であるから、16文を500円とすると夜鷹は1,000円に満たない額で客の相手をしたことになる。夫はギャンブルから抜け出せず、妻は夜鷹となれば、いねの言う通り幸せになるのは難しいかも知れない。

新之助が連れてきた同じ長屋に住むひさを演じたのは、東雲うみ。作中ではかなり地味な装いだったが、実はグラビアアイドルだ。ガンプラの高い制作スキルを持っていて、制作動画などを配信しているYouTube公式チャンネルは登録者数が100万人を超えている。ひさは手先が器用という設定はこれが理由かも知れない。

●蔦重との未来を諦めた瀬川
2番目に注目されたのは20時42~43分で、注目度73.7%。瀬川の身請けが決まったシーンだ。

松葉屋半左衛門(正名僕蔵)といねはうやうやしく頭を下げた。相手は鳥山検校(市原隼人)である。瀬川を身請けするため、検校はなんと1,400両という大金を用意した。ここに五代目瀬川の身請けが正式に決まったのだ。密かに想いを寄せていた蔦重とようやく心を通わせたのもつかの間、瀬川は非情な現実を思い知らされた。足抜けをもくろんだうつせみはあっさり連れ戻され、想い人とは引き離された。

四代目瀬川が自害しなければ、きっと何人もの女郎が瀬川を襲名し、身請けされて大門を出ていったはずだ、と語るいね。吉原は不幸な所だが、人生をガラリと変えるようなことも起きる。瀬川を襲名したからには、そういった背中をほかの女郎たちに見せられる存在となる決心をして、瀬川は蔦重との未来を諦めた。生涯をかけて瀬川と添い遂げようとした蔦重に、「とびきりの思い出になったさ」と言って天網島を蔦重へ返した瀬川には、もう思い残すことはなかった。こうして瀬川は1775(安永4)年の暮れに吉原を出ていくこととなった。

○「瀬川の背中がかっこよかった!」

このシーンは、瀬川の決意に視聴者の関心が集まったと考えられる。

蔦重から足抜けを提案された瀬川だったが、悩んだ末に鳥山検校からの身請けを受け入れる。最後に蔦重と心を通わせることができたのはせめてもの救いだったが、好きなだけではどうにもならない、吉原の厳しい現実を思い知らされる結末だった。

SNSでは、「幼い恋には流されなかった瀬川の背中がかっこよかった!」「毎回吉原の残酷さが描かれているけど、惹きつけられる。脚本がうますぎ」「最後の蔦重と瀬川のやり取り良かった。実現しなくても、蔦重に命懸けの足抜け提案されたことは本当に嬉しかったんだね」「蔦重の提案を受け入れられないのを、物語の感想に込めていたのがすごくよかった」と、瀬川と蔦重のかなわぬ恋に多くの投稿が集まっている。

鳥山検校は最終的に1,400両で瀬川を身請けした。現在の貨幣価値に直すと1両はおよそ10万円(現在の激しいインフレで15万円で換算するケースもあり)なので、1,400両は1億4,000万~2億1,000万円となる。うつせみで300両。下級の女郎だと40両が相場なので瀬川は桁が違う。この高額な身請けが当時の江戸で大きな話題となったのもうなずける。

そんな大金をポンと出せる鳥山検校だが、その資産額は15,000両と伝わる。金貸しというのはいつの時代も儲かるようだ。鳥山検校を演じる市原隼人は、神奈川県出身の38歳でスターダストプロモーションに所属。大河ドラマは2017年『おんな城主直虎』、2022年『鎌倉殿の13人』に続いて3度目の出演だ。『鎌倉殿の13人』では色気がダダ洩れの八田知家を演じ話題となったが、『べらぼう』でも属性がかぶり気味。蔦重いわく、クズの鳥山検校だが、今後はどのような描かれ方をするのか非常に楽しみだ。

●瀬川の生業をまざまざと見せつけられた蔦重
3番目に注目されたシーンは20時30分で、注目度69.9%。蔦重が瀬川の生業をまざまざと見せつけられたシーンだ。

松葉屋で貸本を行っていた蔦重は、松葉屋の主人である半左衛門から瀬川も交えて3人で話がしたいから、昼過ぎにもう一度来るように言われた。再び松葉屋を訪れた蔦重は、昼見世が行われている部屋の前に通された。部屋の中では女郎の誰かが客の相手をしているはずだ。蔦重にはなぜ半左衛門が自分をこの場に連れてきたのか、その意図が見えてこなかった。

「花魁は…ちょいと長引いてるみたいだな」半左衛門は冷たい声でそうつぶやくと、蔦重に部屋の様子が見えるようにおもむろに障子を開けた。狼狽(ろうばい)する蔦重の目に飛び込んできたのは、客の相手をしている瀬川の姿だった。瀬川は蔦重の視線に気づくと、おどろいて顔をそむける。動揺する蔦重に半左衛門は女郎の務めを語り始めた。女郎は年に2日の休み以外、毎日客の相手をし、客をとるほど命がすり減る。そして、年季明けの前に死ぬこともザラにある。「重三、今お前にできんのはな、何もしねえってことだけだ」蔦重の瀬川への想いは半左衛門には見抜かれている。蔦重は何も言い返すことができなかった。

○松葉屋のえげつないやり口が話題に

ここは、松葉屋の鬼畜な別れさせ方に視聴者が驚かされたと考えられる。

瀬川が鳥山検校の身請け話を断ろうとすると、いねは瀬川に間夫(まぶ)ができたと見抜いた。そしてその相手が蔦重であることも看破する。そこでいねは過酷なスケジュールを瀬川に課し、その現場を蔦重に見せつけることで2人の関係を引き裂こうと画策し、見事に成功した。

SNSでは、「松葉屋さん、一度も蔦重と目を合わせないのが逆に怖い」「松葉屋さんのやり方、蔦重には駿河屋の親父さまにボコボコにされるよりはるかに効くよね」「松葉屋が蔦重を諭すシーンは残酷だけど秀逸だったな」と、松葉屋のえげつないやり口が話題となる一方、「松葉屋夫妻はもちろん金が1番なんだろうけど、身請けが瀬川にとって1番幸せになれると思っての言動なんだろうな」「松葉屋のおかみさん、心から女郎たちを心配しているのがよくわかる」などと、松葉屋の複雑な心境にも共感が寄せられている。

設定では、いねは元花魁であり、四代目瀬川とは同年代。2人はかつて松葉屋で同僚の女郎だったと思われる。そして、松葉屋の主人であった半左衛門はいねを見初め、いねの年季明けを待って夫婦となったと考えられる。今回の半左衛門といねの言動は、自らの経験を踏まえたものだとすると、とても深みがある。吉原は夜見世が主役で、昼見世は客が少なく暇なことも多かったようだ。しかし五代目を襲名して以来、瀬川を求める客は多く負担が増えることになった。

間夫とは金を払わずに、秘密裏に逢瀬を重ねる女郎の恋人のこと。女郎としての勤めがおろそかになる可能性があるので、女郎屋では禁じられていた。女郎はおよそ17歳でデビューして、10年勤め上げると年季明けを迎えることができた。しかし、現代ほど医療技術の発達していない江戸時代では、大半の女郎は性病や堕胎の影響で亡くなったそうだ。まさに吉原は苦界と呼ぶにふさわしい場所だ。

●久々登場寺田心にも注目「悪い顔してたなあ」
第9話「玉菊燈籠恋の地獄」では、前回に引き続き1775(安永4)年の様子が描かれた。

鳥山検校による瀬川の身請け話が持ち上がり、蔦重はようやく瀬川への想いに気づく。2人は瀬川の年季が明ければ一緒になろうと約束するが、その約束が果たされることはなかった。足抜けを企てた小田新之助とうつせみはあえなく捕まり、吉原の女郎が幸せをつかむことがどれだけ困難かを思い知らされる切ない展開だった。

注目度トップ3以外の見どころとしては、瀬川を想う蔦重が、瀬川に身請けを断ってくれと迫るシーンが挙げられる。前回、鈍感ぶりを発揮して九郎助稲荷(綾瀬はるか)に「バーカ! バカ! バカ!」とこっぴどくなじられた蔦重だが、今回は不器用ながらも自分の気持ちを瀬川に伝えることができた。

SNSには「蔦重と瀬川、やっと両想いになったのに切ない」「自分の気持ちに気付いた蔦重の表情が胸にグッときました」「瀬川、好きな男にこんなふうに言われたら嬉しいと同時に苦しくもあるよね」と、2人の実らぬ恋に同情する多くの投稿が集まった。

そして悲恋の展開が続く中、その歌声で視聴者を虜にする蔦重の義兄・次郎兵衛(中村蒼)が話題となっている。これまでも癒やしキャラとしての地位を確立しつつある次郎兵衛だが、週を追うごとにその存在感が増しているようだ。SNSでは、「いろいろとしんどい展開すぎてもう次郎兵衛くんが、のほほんと過ごしてるところでしか癒しがない。ずっとそのままでいて」「9回で唯一、笑わせてくれた次郎兵衛兄さんに感謝です」「次郎兵衛兄さんは吉原という砂漠のオアシスです!」と、マイペースに癒やしを提供してくれる次郎兵衛にコメントが集まっている。きっと蔦重の心も、次郎兵衛がなぐさめてくれるに違いない。

また、久々の登場となる田安賢丸(寺田心)が、妹・種姫(小田愛結)から渡された種を見つめて、何かを画策するシーンにも注目が集まっている。SNSでは、「どんな企みを思いついたんだろう、ゾッとしたよ」「寺田心くん、悪い顔してたなあ」「ロクでもないこと思いついてそう」と盛り上がりを見せており、次の展開が待たれる。

種姫を演じる小田愛結は、神奈川県出身の13歳でホリプロに所属。大河ドラマは『べらぼう』が初出演だ。2023年の「第45回ホリプロタレントスカウトキャラバン」では史上最年少の11歳でグランプリを受賞しており、今後の活躍が期待されます。

きょう9日に放送される第10話「青楼美人の見る夢は」では、蔦重は女郎屋の主人たちから、瀬川最後の花魁道中に合わせて錦絵を制作するよう命じられる。一方、幕府では田沼意次(渡辺謙)を追い落とそうと権力争いが激化する。

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