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サイボウズ、2028年度の売上高を500億円超へ‐青野社長「利益が伸びやすくなってきた」

2025年03月04日07時00分 / 提供:マイナビニュース

サイボウズは2月27日、2月13日に発表した2024年12月期の連結決算に関する説明会を開いた。主力製品である業務アプリ構築クラウドサービスの「kintone(キントーン)」が好調で、2024年12月期の純利益は前期比42%増の35億円だった。

2028年度の売上高を2023年比で2倍の509億円超へ

売上高は16%増の296億円だった。2024年11月からのクラウドサービスの価格改定による影響が大きい。例えば、kintoneの最小契約ユーザー数は5から10になり、スタンダードコースの月額ライセンス金額は、1ユーザーあたり1500円から1800円に改定した。そのほかのクラウドサービスについても、平均して2割ほど価格を上げた。

説明会に登壇した代表取締役社長の青野慶久氏は「開発や運用をはじめとした運営全体への投資を拡大している」と説明したうえで、「クラウドサービスの売上が徐々に積みあがってきており、利益が伸びやすい環境にあるのが今のサイボウズだ」と強調した。

好調な増収増益を受け、1株あたり配当金を前期の14円から30円に増配した。「これまでは毎年1円ずつの増配だったが、今回は思い切って配当の水準を上げた」(青野氏)とし、次回の株主総会で決議する予定だ。

2025年12月期の通期業績ついては、純利益が前期比74%増の59億円になる見通し。売上高は21%増の360億円、営業利益は72%増の84億円になるとの予想で、来期も高水準な成長を維持できるよう事業への積極投資を実施する予定だ。また、1株あたり配当金はさらに10円引き上げた40円になると予想。

青野氏は「2028年度の売上高で、2023年度比で2倍となる509億円突破を目指す。そのために、製品の大規模導入を推進し、より多様な情報を扱えるプラットフォームへ進化させていく」と強調した。
主力製品「kintone」の大規模導入を加速

特に成長が著しいのがkintoneだ。同サービスの2024年12月期の売上高は前期比24%増の161億円と2桁成長を続けている。2024年12月末時点の契約中の企業は約3万7000社。価格改定前の需要増もあり、同期の平均導入社数は1カ月あたり730社となり前期から80社増加した。東証プライム企業の導入状況も前年から増加し44%になった。

青野氏は「kintoneの活用が零細・中小企業だけでなく大企業でも拡大している。ただ、価格改定の影響もあり導入のハードルが以前より上がってしまった。月あたり730社導入という数字は1年後には減少するだろう」との予測を述べた。

kintoneの全社・大規模導入を推進するため、サイボウズはさまざまな戦略を打ち出している。2024年7月には1000ユーザー以上の大規模利用に対応するため、専用機能を追加し、利用可能なアプリ数・スペース数・APIリクエスト数を拡大した「ワイドコース」をリリース。組織・グループ別の表示制御やプロセスフローの可視化、組織別アプリ保持状況分析など、大規模利用に特化した機能が充実している。

また利用用途を拡大するため、kintoneの検索機能と検索拡張技術(RAG)を組み合わせた「kintone AIアシスタント(仮称)」のβ版を2024年11月に発表。kintoneのデータを生成AIと組み合わせて検索でき、より効率的なデータ活用が可能になる機能だ。2025年度にはその他のAI機能も合わせて正式にリリースする予定だ。

実際にkintoneの全社・大規模導入の事例は徐々に増えている状況だ。先述した通り、東証プライム企業の44%がkintoneを活用しており、自治体のkintone導入数も380自治体を突破した。2024年度の導入事例としては、阪急阪神不動産がグループ会社を含めた約1000人がkintoneの利用を開始。市民開発とDX人材育成を進めている。また、長崎県西海市では、kintone×生成AIを全庁に導入。年間2000時間以上の業務削減を達成した。

「kintoneを全社・大規模導入することで、より全社最適な業務効率化と情報共有の最適化を実現できる」(青野氏)

パートナービジネスも年々拡大しており、オフィシャルパートナー社数は500社、連携サービスは400サービスを突破。AI関連の連携サービスも増加しており、パートナー売上高は前期比23%増の165億円、売上高比率は64%となった。青野氏は「エコシステムの拡大がサイボウズのビジネスの根幹だ。引き続き広げていきたい」と強調した。

グローバル展開にも注力

サイボウズはクラウドサービスのグローバル展開にも力を入れている。2007年に上海に子会社を設立して以降、中華圏、東南アジア、米国を中心に事業を拡大してきた。これまでは、海外進出している日系企業をターゲットとしてきたが、現在では、本格的に現地ローカル企業に注力するための戦略にシフトしている。

グローバルでの導入状況は、中華圏が前期比1%増の約1400社、東南アジアが9%増の約1290社、そして米国が2%増の約880社。青野氏は「東南アジアでは順調に顧客数が伸びているが、中国ではデータ保護法が障壁で導入数の伸びが鈍化した。米国においては、直販からパートナー販売へと本格的に切り替えており、パートナーの育成に注力している状況だ」と説明した。

2022年12月から資本提携を結んでいるリコーとの協業については、2024年1月に中南米、2024年10月にアジア向けに「RICOH Kintone plus」をリリースし現地での導入が徐々に進んでいるという。

またkintoneの多言語化も進んでおり、日本語、英語、中国語、スペイン語に加え、タイ語とポルトガル語(ブラジル)に新たに対応した。また、サイボウズは、2024年3月にタイ法人を設立し、タイでの販売体制・パートナー協業を強化している。タイ語への対応により、タイの日本法人やローカル企業での活用をさらに広げたい考えだ。

kintoneは柔軟にカスタマイズができて自由度が高く、商習慣や文化の違いにも対応しやすいという強みがある。日本らしい丁寧なサポート体制も、現地のローカル企業では高く評価されているとのことだ。「グローバルで叩ける製品展開に向けた研究開発を継続していく」(青野氏)

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