2025年03月04日09時00分 / 提供:マイナビニュース
少子高齢化による人手不足が社会問題になっている昨今、ビルメンテナンス業界もその例外ではない。ビルメンテナンス業は清掃業、警備業、設備管理業の3つに大別することができるが、「それぞれの業種ごとに事業者の属性に違いがあり、人手不足に対する課題や取り組みも大きく異なる」と話すのは、ザイマックス不動産総合研究所 主任研究員の山田賢一氏だ。
2月27日に開催された「TECH+セミナー ビルメンテナンス 2025 Feb. デジタル化による業務効率化戦略」に同氏が登壇。「ビルメンテナンス業界の実態と課題を知る」と題し、調査結果を基に人手不足の原因について考察すると共に、解消に向けたヒントを業種別に示した。
ビルメンテナンス業界を取り巻く3つの環境変化
ザイマックスグループは、不動産マネジメントサービスの提供を軸に、建物に関するさまざまなサービスを手掛けている。山田氏が所属するザイマックス不動産総合研究所はグループにおけるシンクタンクの役割を担っており、不動産市場や建物の運営・管理などについてのリサーチを実施している。
講演の冒頭、同氏は現在のビルメンテナンス業界を取り巻く環境について、さまざまな調査結果を基に解説した。
まず挙げられたのは、オフィスビルの高齢化である。「オフィスピラミッド2025」によると、東京23区の場合、賃貸のオフィスビルの平均築年数は34.6年だという。バブル期に建てられたビルが多く、とくに中小規模のビルでは築年数20年以上のビルが80%以上を占めているそうだ。
次に、オフィスビルのエネルギー単価の上昇がある。電気、ガス、熱のエネルギー消費量や単価を定点調査したところ、エネルギー消費量は年々下がっているものの、エネルギー単価はアップダウンが激しい傾向が見られたという。特に2022年以降は大きく上昇し、2011年を100とした場合、2023年は170、2024年は153と非常に高い数字となった。山田氏はこの傾向について、「今後も読みづらく、不透明」だと話す。
さらに、ザイマックス不動産総合研究所の調査では、就業者の需要と供給のギャップが2040年時点で約1000万人になると推計。そのうち8割以上が現場で働くノンデスクワーカーだとみている。
「ビルメンテナンス業界もこのノンデスクワーカー層のなかに含まれており、人手不足はますます深刻化していくでしょう」(山田氏)
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