2025年02月20日10時14分 / 提供:マイナビニュース
会社員の傍ら、メルカリで副業収入を得ている人は意外と多いのではないでしょうか。20万円以上稼いだ場合は「確定申告が必要なの?」と気になるところ。実は20万円以上利益が出ても確定申告が必要なケースと必要でないケースがあります。自分のケースはどうなのか、ここで確認しましょう。また、確定申告が必要にもかかわらず申告を怠った場合の影響についても解説します。
確定申告が必要かどうかは取引内容で判断する
メルカリで洋服や生活用品などの不要品を売って得た収入には、原則、所得税は課税されません。生活用動産の譲渡による所得は所得税の課税されない譲渡所得に該当するためです。ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。
また、生活用動産に含まれるものでも、相当の期間にわたり、継続的に譲渡している場合の所得は、営利目的とみなされ、事業所得または雑所得に該当し課税対象となります。
<生活用動産の譲渡であっても課税されるもの>
●1点30万円を超える高額商品を売った利益
●営利目的で販売した利益
これらの利益を得た場合は確定申告が必要となります。
確定申告が必要な取引例
*1点30万円を超えるプレミア品を販売した
1点で30万円を超えるプレミア品を売って得た利益は生活用動産の譲渡とはみなされず、確定申告が必要な場合があります。
*転売して儲ける目的で買ったものを販売した
営利目的にあたるため、雑所得または事業所得とみなされ確定申告が必要となります。
*ハンドメイド品を継続的に販売している
継続的に販売して利益を得ている場合は、営利目的と判断され、雑所得または事業所得に該当するため確定申告が必要となります。
メルカリの「売上」ではなく「所得」で判断
会社員の場合は、年間の副業所得が20万円を超えると、確定申告が必要になります。この20万円は「売上」ではなく、売上から必要経費を引いた「所得」です。メルカリで売った場合の必要経費には次のようなものがあります。
商品の仕入れ代金
販売手数料
梱包資材代
送料
売上金振込手数料
パソコンやスマホなどの通信費
商品仕入れにかかった交通費
事務所などの光熱費
たとえば、ハンドメイド作品を売って年間30万円の売り上げがあったとしても、材料費や手数料、梱包費用、送料などをあわせて10万円以上の必要経費がかかっていたら、所得は20万円以下になるので、確定申告は不要となります。
メルカリの利益で確定申告が必要なケース
ここまで確定申告が必要なケースの基準を20万円としていましたが、この基準は給与所得者が副業をした場合の基準です。副業ではなく本業のケースもみていきましょう。
給与所得者の場合
会社の給与以外に所得がある場合は、その所得の合計額が20万円を超えると確定申告が必要です。なお、20万円を超えない場合でも年収が2,000万円を超える人は確定申告をしなければなりません。給与以外の所得にはメルカリで得た所得だけでなく、株や仮想通貨、アフィリエイト収入なども含むので注意が必要です。
メルカリを本業としている場合
給与所得がなく、メルカリを本業としている人は、年間の所得が48万円を超えると確定申告が必要です。この48万円という基準は基礎控除が適用されるためです。メルカリを本業としている場合の所得は事業所得に該当します。事業所得は「青色申告」で確定申告を行うと税制上の優遇措置が受けられます。
確定申告が必要なケースで確定申告をしなかったらどうなる?
最後に、確定申告が必要なケースで確定申告をしなかった場合どうなるのか、みていきましょう。
無申告加算税が発生する
確定申告が必要にもかかわらず申告しなかった場合、「無申告加算税」が課せられます。無申告加算税は、納付すべき税額が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の税率が加算されます。ただし、税務署の調査が行われる前に、自主的に申告を行った場合は、無申告加算税が軽減され、5%の加算となります。
遅延税が発生する
支払うべき税金を法定納期限(確定申告の期限のこと、令和6年分は令和7年3月17日)までに納めなかった場合、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じ、延滞税が課せられます。
悪質な場合は重加算税も
確定申告で重大な不正が発覚した場合、最も厳しい重加算税40%がペナルティとして科せられる可能性があります。重大な不正とは、二重帳簿や帳簿書類の改ざんなど、隠ぺいや偽装を行う行為です。
まとめ
洋服や生活用品などの不要品の販売は非課税ですが、高額商品の売却や営利目的の販売は課税対象となり、確定申告が必要です。申告を怠ると、無申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。確定申告について理解を深めて、期限内に正しく申告をしましょう。
石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。ブログ「ファイナンシャルプランナーみかりこのお金の勉強をするブログ」も運営中! この著者の記事一覧はこちら