2025年01月30日23時00分 / 提供:マイナビニュース
Ada LovelaceことRTX 40シリーズの投入から丸3年、ついにアーキテクチャをBlackwellへと一新した「NVIDIA GeForce RTX 50」シリーズが、アメリカ・ラスベガスで開催されたCES 2025で発表されました。高まり続ける推論性能への要求を受けて開発された製品で、グラフィックス用途が主となる消費者向け製品ながら、AI機能を活用した改修が行われている点が特徴です。
昨日掲載したのはNVIDIAが一部地域向けに発売するいわゆる“純正”モデル、「Founders Edition」のレビュー(関連記事)。しかし日本では正規の手段で購入できないので、パートナー製のAIBモデルが気になっていたところ。今回、日本国内向けの販売を精力的に行うPalit GameRockブランドの製品に触れることができたので、FE版とは打って変わって巨大なオリジナルクーラーを備えた新世代モデルの様子を眺めてみました。
忙しい方向けにまとめておくと、Palitが展開する上位モデル「GameRock」シリーズではクーラーを大刷新。ベイパーチャンバーの採用など、GeForce RTX 5090 Founders Edition同様の新機構が導入されており、トリプルファンの大規模なエアフローで静音動作を実現しています。
新モデルは“カメレオン”、見る角度で姿を変える極彩色の巨大クーラー
実機を見る前にPalitの製品ラインアップをかんたんに振り返っておくと、GameRockは性能とリッチな外観を両立した最上位モデル。このほか、やや加飾を排してさらにコストパフォーマンスを高めつつ冷却性能を確保した「GamingPro」、全く光らない製品を愛好するユーザー向けの「JetStream」、シンプルなデュアルファンモデル「Dual」、スモールフォームファクタにも準拠する「Infinity」、ほどほどの冷却性能で済むローエンド向けにはファンレス仕様「KalmX」のような変わり種まで用意。用途や予算、外観に応じて必要なものを選べるようになっています。
これを踏まえて今回チェックする上位モデル「Palit GeForce RTX 5080 GameRock」を眺めてみると、ファンカバーにド迫力のイルミネーションを搭載していた前世代製品とは打って変わり、構造色を多用したことで一概に“何色”だと表現できない複雑な外観になりました。さらにこの光沢部にイルミネーションが仕込まれており、盛大なライティングも楽しめます。
消費電力の増加に伴うものか、GeForce RTX 4080 SUPER JetStream OCの頃は二股だった変換ケーブルが三股に。古めの電源ユニットを流用する場合はPCIe 8ピン端子を少なくとも2つ使う必要があります。
加えて、Palitお馴染みの組み立て式サポートステイも入っていました。華奢な作りですがネジ止め式でしっかり重量を受け止められる仕様で、もはや必須装備ともいえるもの。ぱっと見て使い方がいまいちわからない場合は、公式YouTubeチャンネルに投稿されている説明動画をチェックしておきましょう。
付属品もチェックしたところで、「Palit GeForce RTX 5080 GameRock」本体を見ていきましょう。静電防止袋から取り出してみると、やはり分厚く巨大であることが印象的。Chameleon Panelが見る角度によって色彩を変化させ、カラフルでユニークな視覚効果を生み出しています。
ファンは独自の「TurboFan 4.0」が採用されており、ウィングレットが気流を安定化させることで抵抗と騒音を軽減。騒音と熱の両面で合計33%の最適化を達成するとしています。加えてそのヒートシンクにも適切な角度を設けることで、気流をフィン全体に誘導。騒音低減とエアフロー効率の両面で合計16%の改善を実現するとのこと。
冷却機構にはベイパーチャンバーを新搭載し、GPUに加えてVRAMにも接触。溝構造と焼結パウダー構造を組み合わせたコンポジットヒートパイプを搭載することで、巨大なヒートシンクへの熱移動をアシストできるといいます。ちなみにNVIDIAはFounders EditionのRTX 5080にベイパーチャンバーを搭載していないので、RTX 5080に関してはPalit製品に優位性があります。
ファンカバーがヒートシンクをすっぽり覆っている点も要注目です。ダイカストフレームをフルカバー設計にリニューアルしたとしており、従来比3.6倍の大きさで基板全体を保護するとのこと。一体感の向上でひとつのカタマリのようになり、かなり高級感に寄与しているように思います。
ちなみに、本体サイズは331.9×150×70.4mmとかなり巨大。ついに330mmの大台を超えてきており、サポートステイをさらに外側に設置することを思うと、コンパクトなケースではやや窮屈になるかもしれません。電源コネクタもサイドパネルに当たるかもしれない位置にあり、一回り大きいケースの方が安心して運用できそうです。
マルチフレーム生成は圧巻。素直に爆増するフレームレート
既に詳細な性能については『「NVIDIA GeForce RTX 5080」レビュー! 素の性能でもRTX 4080 SUPERを若干凌駕、DLSS 4でRTX 4090すら圧倒』でご紹介しているので、個人的に気になってきたGeForce RTX 50固有の機能、マルチフレーム生成を『サイバーパンク2077』で体験してみました。
同作はNVIDIA独自機能のショーケースともいえるほどあらゆる機能が詰め込まれており、先日展開された「パッチ 2.21」でDLSS 4に完全対応。Transformerモデルとの切り替えからRay Reconstruction、マルチフレーム生成まで明示的に設定でき、これが最新機能か……と実ゲームやベンチマークを眺めて感動することが可能です。余談ですがゲーム本体もDLCまで傑作なので、ぜひ最新グラフィックスカードを入手した際にはプレイしてほしいところ。
実際に試してみると、『サイバーパンク2077』ではかなり素直にフレームレートが増加している様子がわかります。実ゲーム中でもしっかり新機能が力を発揮していること体感でき、描画負荷の重さからは想像しにくい滑らかな画面表示で重量級ゲームをプレイできました。
テストした際の室温が22度前後と低いこともあってか、動作中の温度にもかなり余裕があり、ファン速度も遅め。巨大なクーラーを搭載したことで熱容量もかなり大きく、『VALORANT』『League of Legends』並みに負荷の小さいゲームではファンが止まることも。RTX 4080 SUPERとの性能比較では“ほぼ変わらないのでは”と指摘されることもありますが、やはり新機能によるフレームレートの増加は旧世代製品で使えないもの。供給が安定して一人でも多くのゲーマーが購入しやすいものになればなと思います。