2025年01月26日16時05分 / 提供:マイナビニュース
PlayStation 5(PS5)、Xbox Series X|S、Ubisoft+、Amazon Luna、PC(Steam / Epic Games Store / Mac App Store / Ubisoft Store)向けに、3月20日に発売予定のアクションアドベンチャー『アサシン クリード シャドウズ』は、Ubisoftが手掛ける「アサシンクリード」シリーズの最新作だ。
これまでに古代ギリシャや産業革命期のイギリスなど、世界各国を舞台に歴史の裏で暗躍するアサシンたちの物語を描いてきた本シリーズ。最新作では安土桃山時代の日本を舞台に、忍と侍のダブル主人公を据え、オープンワールドを縦横無尽に駆け巡るパルクールやステルスアクションといったシリーズの伝統を引き継ぎつつ、新たなゲーム体験が展開される。
今回、注目を集める本作の先行体験会に参加する機会を得た。プレイできたのはチュートリアルを含む物語冒頭と、メインクエストの一部、そして新要素の1つである拠点開発。5時間のたっぷり試遊で明らかになったゲームプレイの一部を紹介する。なお、以下で紹介する仕様は開発中のビルドに基づくものであり、製品版とは異なる可能性がある。
奈緒江はアサシン、弥助は……怪しい
そもそもなぜ日本が舞台なのだろうか。アサシン=忍がいるためだ。
「アサシンクリード」シリーズはざっくりいうと、アサシン教団とテンプル騎士団の戦いを描く物語。アサシン教団もテンプル騎士団もモデルが存在するが、「アサシンクリード」シリーズではよりフィクショナルに、はるか昔から現代に至るまで世界規模で暗躍する秘密結社として描かれる。
テンプル騎士団は絶対的な秩序にもとづく世界の支配を企む集団で、その理想を実現するため、超常的な力を持つアーティファクト(秘宝)を追い求めている。アサシン教団は人間の自由意志を重んじる集団で、テンプル騎士団の企みを阻止するために日夜がんばっている。そんなアサシン教団とテンプル騎士団の対立が世界中で繰り広げられ、人知れず歴史を動かしてきた。
現代に至って一大コングロマリットを築いたテンプル騎士団は、過去の記憶をバーチャルリアリティで追体験できる技術「アニムス」を開発。アサシンたちの遺伝的記憶を辿ることで秘宝の行方を探し当てようと目論んでいる。で、アサシン教団もまた「アニムス」を使ってテンプル騎士団より先に秘宝を見つけようと頑張っている。シリーズで各国のさまざまな時代が舞台に選ばれるのは、「アニムス」を使って両陣営が必死にアーティファクトを探している過程を描いているからなのだ。
前置きが長くなってしまったが、『アサシン クリード シャドウズ』もまた、「アニムス」を通じて過去のアサシンの記憶を辿る物語。本作で「アニムス」によるシンクロの対象となるのは伊賀の忍・奈緒江とモザンビーク出身の侍・弥助だ。つまり、日本にテンプル騎士団が探し求める秘宝が存在していた、もしくはアサシン教団の関係者がいたということが察せられる。
奈緒江は伊賀流忍者の大家として伝えられている藤林家の娘という設定。織田信長の伊賀征伐により里が焼き払われる真っ只中、奈緒江は父・保正から命じられて一族に伝わる大切なアイテムを守るよう言いつけられる。しかし、使命は果たせず、さらに大切なものまで奪われてしまった。
奈緒江の父が守ろうとした何かはプロローグでは明かされていないが、アサシン教団とつながりがありそう……と素直に考えれば、奈緒江はアサシン教団の系譜に連なる主人公に見える。歴代のアサシンたちが装備している隠し刃(ヒドゥンブレード)を持つことからも、これはほぼ確実だろう。気になるのはもう1人の主人公だ。
弥助は信長に仕えたとされる実在の人物をモデルとするキャラクター。カトリック宣教師として日本を巡っていたアレッサンドロ・ヴァリニャーノとルイス・フロイスに付き従っていたところ、信長に気に入られる。
という経緯が物語冒頭で描かれるのだが……。弥助と宣教師のやり取りはどことなく不自然で、なんか怪しい……。こいつら本当にただの宣教師と従者か……? だって宣教師ってさあ……など、邪推が止まらないが、ストーリーを進めてみないと実際のところはわからない。ああ、気になる!
本編ではプロローグから時間が経ち、信長亡きあと秀吉を中心に政治的思惑が入り乱れる歴史の裏で、弥助と奈緒江がそれぞれの目的を果たすために動く。ストーリーではさまざまな歴史上、伝説上の有名人と関わることになりそうだ。
なお、先行プレイで体験できた範囲では、2人の主人公がどのように出会い、共闘するようになったのか、経緯を見ることはできなかった。そこが一番気になるんですが……。
なぜなら、弥助は信長の伊賀征伐に同行している。奈緒江にとって、弥助は仇敵の1人と言ってもいい。本来であれば共闘するには重すぎる因縁がある2人だが……知っていて共闘するのか、知らずに共闘して、のちに一悶着あるのか。2人の運命がどのように交錯するのか、見どころの1つになりそうだ。
隠密か、強襲か……ダブル主人公ならではの試行錯誤が楽しい
「アサシンクリード」シリーズといえばステルス。なのだが、本作はステルスを得意とする奈緒江と戦闘を得意とする弥助の、ダブル主人公制だ。弥助で力押しできるなら、ステルスは不要なのでは? とプレイ前は思ったが、そんなことはなかった。
まずキャラクターの切り替えを行えるタイミングは非戦闘中に限られる。つまり、奈緒江をプレイ中に大勢の敵に見つかったからといって、弥助に切り替えてゴリ押しすることはできない。1つの攻略ポイントにつき、奈緒江のスニーキングか、弥助の大立ち回りか、どちらかのスタイルできっちり攻略することが求められる。
ただし、得意分野ではないものの、弥助も一応ステルスはできるし、奈緒江も近接戦闘は可能。そして2人とも暗殺を仕掛けられるのも共通だ。ちなみに、日本版では身体の切断表現が常に不可になっているが、先行プレイ時はまだ反映されていなかったようで、通常の「暗殺」ではなく「残忍な暗殺」というアクションを実行したら、弥助で金棒で相手の首をふっとばした。無、無惨……。
『アサシン クリード シャドウズ』海外版(北米・欧州)と日本版 表現差異について#AssassinsCreedShadows pic.twitter.com/v3XrcppwMf— Ubisoft Japan (@UBISOFT_JAPAN) January 24, 2025
攻略では、新要素の「観察」モードが便利だ。標的や戦利品、クエスト目標などの情報を素早く入手できるのに加え、観察対象にマーキング、タグ付けを行うことができる。
もう1つ、意外にもシリーズ初となる“影に身を潜めるステルスメカニズム”がおもしろかった。影に隠れる効果は大きく、敵がかなり近づいても見つからない。夜間は照明を壊しながら積極的に暗所を作り出すことで有利な状況を作ることができる。人を狙うか、照明を壊して足場を固めるのが先か、といった計画を立てるのも楽しそうだ。
これらの共通システムに加え、奈緒江であれば、壁越しの人物の様子も透視できる「イーグルビジョン」を利用可能。クナイ、手裏剣、煙玉など、いかにも忍らしい忍術道具で不意打ちを仕掛けることもできる。
また、敵を排除する上では、殺さずに気絶させる選択もできるほか、スキルを習得すれば2人同時の暗殺(ダブルアサシン)も実行できる。さらに鈎縄を利用してある程度の高さの屋根を自由に登ることができるので、高所からの暗殺も手軽にできる。忍者最強!
なお、弥助は奈緒江のように静かに素早く移動することや、鈎縄などを利用した高所への移動などはできないが、匍匐(腹ばい)による移動は可能。また、暗殺向きの道具として弓を扱えるため、強行突破を仕掛ける前に敵の頭数を減らすぐらいのことはできそうだ。とはいえ、やはり弥助は正面切った戦闘が向いている。奈緒江よりタフに敵の攻撃を受けられ、多彩な武器を扱えるのが彼の強みだ。
戦闘では弱、強攻撃に加えてボタン長押しで溜め攻撃が可能。攻撃を当てるとゲージが溜まって強力なスキルを放つこともできる。
防御面では、弥助は突き崩し(パリィ)、奈緒江は受け流し(回避)によって敵の攻撃をいなすことができる。タイミングよく成功させると、敵は姿勢を崩した「脆弱状態」になり、与ダメージが増える。
パリィの判定はそこまでシビアではないが、相手のターンを見極めるのが難しい。敵の攻撃の中には連続でパリィを成功させる必要があるものもあった。また、敵には浪人、番兵、忍など、いろいろと種類があって、それぞれに特徴的な戦闘スタイルがある。たとえば番兵は防具を身にまとっていて、アーマー値のようなものが設定されている。削り切ることで防具を破壊し、より大きなダメージを通すことができるが、防具を破壊するまでしっかりダメージを与えるのが難しい。
ここで弥助の特徴が活きてくる。彼は刀のほか、振るまで遅いが敵の防御を粉砕できる金棒、リーチの長い薙刀、鉄砲を扱える。防具が固い敵であれば棍棒、遠距離から攻撃してくる敵には鉄砲、という感じで相手や戦況に応じた対応が可能だ。
一方の奈緒江は刀を扱うほか、集団戦に強い鎖鎌、ヒット&アウェイに便利な短刀を使える。奈緒江も十分に強い攻撃手段を持っているが、弥助と比べれば打たれ弱い。戦闘を強いられる場面では、なるべく集団戦にもつれ込まないようにしたいところだ。
なお、ステルスや戦闘で使用できるスキルはいずれも強力だが、スキルツリーを解放させる必要がある。成長に必要なポイントは弥助と奈緒江、それぞれが獲得できるので、弥助を成長させたからといって奈緒江を成長させるポイントがなくなる、といったことはない。
や、やることが多い! 広大なフィールドで安土桃山ライフを満喫
今回プレイできたロケーションは播磨の一部だが、マップで確認した限りでは摂津や大和などの地名も確認できた。播磨だけでも広さを感じたので、オープンワールドとしてのボリュームも申し分なさそう。
そんな広大なフィールドをパルクールアクションで駆け回るのも「アサシンクリード」シリーズの魅力。さまざまな障害物を乗り越えて縦横無尽にフィールドを駆け回ることができる。フィールドにはサブクエストのほかに自由に攻略できるロケーションが存在する。パルクールに夢中になっていると、いつの間にか不法侵入していた、というのもお約束。開き直って物資を強奪するのもオープンワールドの醍醐味ともいえる。
試しに海に出てみたら小舟を奪って、より大きな船を襲撃することもできた。個人的にオープンワールドは許される犯罪の幅が広ければ広いほどいいので、こういう仕様はうれしい。
なお、調子に乗りすぎるとお尋ね者になることもあるようだ。しかしお尋ね者になっても大丈夫。キャラクターを切り替えれば、時間が解決して、“なかったこと”になるようだ。これはダブル主人公最大のメリットでは?
シリーズではおなじみの超高所(ビューポイント)も用意されている。鈎縄を利用しながら奈緒江のパルクールで向かうのが便利だが、場所によっては弥助でも階段を登ってたどり着くことができるようだ。ビューポイントでは前述の「観察」を利用して“何かがある”ロケーションをマーキングできる。実際に何があるかは行ってみないとわからず、移動するモチベーションになる。
クエストを進める際には、どこに向かえばいいか自力での調査が必要な場合がある。そんなときに役立つのが「密偵」。マップ上で密偵を使用することで、クエストを進めるのに必要な情報を集められる。自由気ままにオープンワールドを楽しみながら偶発的にクエストを進めるスタイルであれば密偵を使わなくてもいいし、目標に向かって効率的に攻略するスタイルであれば密偵をガンガン派遣すると良さそうだ。
忘れてはいけない重要な要素に「天候」と「季節」がある。天候はステルスに影響し、たとえば大雨では音が紛れ敵に気づかれにくくなるようだ。
季節の影響範囲はさらに広い。詳しい仕様は不明だが、今回の体験プレイでは季節の移り変わりが一度だけ発生した。季節が変わると、警戒状態や地点情報がリセットされる。把握できた範囲では、ハチャメチャな悪事がバレた屋敷でも、敵から追われることがなくなった。
加えて、季節もまたステルスに影響する。先行プレイでは確認できなかったが、たとえば冬場では氷柱が落ちた音に敵の注意が惹きつけられるといったことが起きるらしい。攻略を一旦は諦めたロケーションも、季節を変えて挑戦すれば成功する、なんてこともあるかもしれない。
また、フィールドには収集要素やミニゲームも用意されている。たとえば「墨絵あつめ」。フィールドには鹿の親子が毛づくろいをしていたり、青鷺が水浴びをしていたり、墨絵映えスポットが存在する。奈緒江も弥助も、心を動かされるポイントは通じ合っているようで、しかも2人とも絵心がある。動物に気づかれないよう、そーっと忍び寄って、決定的瞬間を絵に残そう。
ほかにも神社への参拝や「臨・兵・闘・者」を描く九字切りリズムゲーム(?)などアクティビティは多数。成長要素にもかかわるので、積極的に探していきたい。
新築戸建てペット・仲間付き。夢の隠れ家生活
最後に紹介する目玉ポイントは拠点開発だ。たとえば武具を強化できる「鍛冶場」や密偵の人数を増やせる「書斎」など、攻略を有利に進める施設を建設できる。
また、集めた仲間の管理・育成も行える。仲間は戦闘中に呼び出すことができ、プレイヤーに先行して敵の群れに突入させるといった活用も可能だ。
また、本作は装飾要素が大幅に追加されている。この装飾要素、めちゃくちゃ自由度が高いというわけではないが、用意されているオブジェの種類がかなり豊富。たとえば、ほとんど同じ形に見える岩でも、苔生したバージョンと苔がないバージョンが用意されている。格調高い掛け軸を飾ることもできれば、自作の墨絵を飾ることもできる。
なによりも……犬や猫、鹿、猿といった動物を配置することができる。特に犬と猫はバリエーションが用意されている。庭を秋田犬で埋めていいのか!?
ワンボタンで犬をポンポン置けるので無限の犬に囲まれた理想郷をつくろうと思ったが、さすがに配置上限数があった。わかる。動くオブジェクトで画面を埋め尽くせば、処理が重くなって大変になるのだろう。でも無限に秋田犬を配置する、一瞬だけそんな夢を見たんだ……。
ところで、秋田犬はこの時代から関西にいたのだろうか? そんなことは知らないが、秋田犬はあらゆる時代、場所に遍在していいだろう。そう、アサシン教団がそうであるように……。
ステルス、戦闘の奥深さが増した新生「アサシンクリード」
ダブル主人公が楽しい『アサシン クリード シャドウズ』。もともとのステルス要素だけでも自由度の高い攻略が魅力だったシリーズだが、弥助による戦闘主体のプレイングも選択肢にあることで、本作は攻略の幅がかなり広そうだ。プレイ前は弥助の存在がステルス要素を薄める要因になるのでは、と思ったが、実際には奈緒江も弥助も緻密な組み立てや腰を据えた攻略の醍醐味がありそう、という印象を受けた。
また、季節や天気によって変わるステルスメカニズムも、かなり気になるところ。新要素である影に身を潜めるシステムがかなり強力であっただけに、本作はシリーズの中でも特に環境を利用したステルス攻略が楽しめるのではないかと予想される。
一方で気になった点もある。1つは暗いシーンが続くこと。影に潜むと有利になるイメージがあり、今回の体験では夜の攻略を選びがちになったが、せっかくのビジュアルがよく見えないというシーンが増える気がした。もちろん日中でも日陰はあるので、実際の攻略難易度は夜も昼も差はないのかもしれないが。
もう1つ気になったのは、普段の移動中は身軽にパルクールできる奈緒江を選びがちになってしまったこと。本編全体では、弥助で移動するメリットも見つかればいいなと思う。
発売までもうしばらく。早く全貌を知りたい。