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Core Ultra 9 285KとCore Ultra 5 245Kの実力検証! Arrow Lakeは本当に高速省電力? 対14900K&9950Xベンチマーク

2024年10月25日00時00分 / 提供:マイナビニュース

2024年10月25日から開発コードネーム「Arrow Lake」こと、デスクトップ向けの「Core Ultra 200Sシリーズ」が発売となった。それに合わせて、「Core Ultra 9 285K」と「Core Ultra 5 245K」を試用する機会を得た。前世代の上位モデル「Core i9-14900K」やAMD最新世代の最上位モデル「Ryzen 9 9950X」も加えて検証結果をさっそく紹介していこう。

ハイパースレッディング廃止、NPU搭載、電力効率重視と設計を刷新

「Core Ultra 200Sシリーズ」は、大きな転換期を迎えたCPUだ。これまでのCore iシリーズが終了となり、第○世代という表現もなくなった。ブランド名だけではなく、設計も刷新。AI特化型プロセッサのNPUをデスクトップ向けでは初搭載し、電力効率を重視して前世代から同じ性能を半分の電力で出せるという。テストではこのあたりにも注目したい。なお、第12世代から14世代はLGA1700ソケットに対応していたが、LGA1851ソケットに変更。互換性もなくなり、利用するにはIntel Z890チップセット搭載のマザーボードが必要になる。

設計的な解説については「Intelが「Core Ultra 200S」(Arrow Lake)発表、省電力な新世代デスクトップCPU - AIチップも初搭載」で確認してほしいが、これからCore Ultra 200Sシリーズで自作を考えているなら注意したいのが対応メモリがDDR5のみになったこと。ついにDDR4対応はなくなった。また、CPUの定格がDDR5-6400と高いため、メモリ選びにも注意したい。このほか、メモリ基板上にクロックドライバを実装して安定性を向上させた「CUDIMM」と「CSODIMM」も利用可能になっている。Z890チップセットに最適化されたCUDIMMはすでに複数発売されているので、合わせてチェックするとよいだろう。CPUクーラーについてはCPUソケット周囲の設計が前世代から変わっていないので、LGA1700対応ならそのまま使えるはずだ。ただ、念のためLGA1851への対応は確認しておいたほうがよいだろう。

このほか、機能面では第14世代Coreシリーズで導入されたゲーム・アプリの最適化機能の「Intel Application Optimization」は引き続き搭載となった。対応するゲームの数は増えており、今後の強化も期待したいところだ。

Cinebench 2024強し! ゲームでは苦戦も低消費電力はホンモノだ

さっそく、ベンチマークを行っていこう。Intel環境に関してはIntel Application Optimizationを有効化している。各CPUの動作設定とテスト環境は以下の通りだ

まずは、CGレンダリングでシンプルにCPUパワーを測定する「Cinebench 2024」とPCの基本的な性能を測定する「PCMark 10」を見ていこう。

Cinebench 2024に関しては、Core Ultra 9 285Kが圧倒的だ。ハイパースレッディング廃止が廃止されたが、マルチコアのスコアは高く、ポテンシャルの高さを感じさせる。シングルコアの性能も優秀だ。Core i9-14900Kに対して、マルチコアで約13%、シングルコアで約11%もスコアが向上した。PCMark 10はそれほど負荷が高いテストではないので、スコアに大きな差は付いていないが、クリエイティブ系の処理を行うDigital Content CreationでCore Ultra 9 285Kがトップになってる点に注目したい。

続いて、実ゲームではどうだろうか。ここでは、「オーバーウォッチ2」、「黒神話:悟空」、「サイバーパンク2077」を用意した。オーバーウォッチ2は、botマッチを実行した際のフレームレートをCapFrameXで計測、黒神話:悟空はベンチマークツールを利用、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を利用している。GPUがボトルネックになりにくくCPUの性能差が出やすい低画質設定と、GPUがボトルネックになりやすくCPUの差が出にくい最高画質設定の2種類でテストしている。解像度はフルHDだ。

Core Ultra 9 285KとCore Ultra 5 245Kは厳しい結果と言わざるを得ない。黒神話:悟空では、CPUによるフレームレートの差はほとんど出ていないが、オーバーウォッチ2の低画質設定を見ると、Core i9-14900Kと大きな差ができている。決して低いフレームレートではないので実用面での問題はないが、それでも性能差は明らかだ。サイバーパンク2077はどちらの画質設定でもCore i9-14900KとRyzen 9 9950Xに及ばない。機会があれば、もっと多くのゲームで検証したいところだ。

クリエイティブ系のテストも試したい。まずは実際にAdobeのPhotoshopとLightroom Classicでさまざまな画像処理を行う「Procyon Photo Editing Benchmark」から。

Core Ultra 9 285KはCore i9-14900Kとほぼ拮抗。CPUで処理される「Batch Processing
」のスコアが高いことから、ここでもCPUパワーは十分高いというのが見て取れる。なお、Image RetouchingはCPUとGPUの両方を使う処理だ。

続いて、エンコードアプリの「HandBrake」を使って、約3分の4K動画ファイルをH.264とH.265のフルHDにエンコードするのにかかった時間を計測した。

ここでもCore Ultra 9 285Kは非常に優秀だ。H.264へのエンコードではトップ、H.265でもRyzen 9 9950Xに次ぐ2番目に付けた。Cinebench 2024と同じ傾向で、全コアをフルに使うような処理では強いようだ。

最後に消費電量や動作クロックをチェックしておこう。まずは、システム全体の消費電力から。アイドル時は起動10分後、そのほかはベンチマーク実行時の最大値だ。電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用した。

電力効率重視の設計に偽りなし、と言えるだろう。使用するアプリによって大きく変わるだろうが、Cinebench 2024やサイバーパンク2077ではCore i9-14900Kに比べてCore Ultra 9 285Kは強烈に消費電力が下がっている。サイバーパンク2077は100W以上も低い。Cinebench 2024は85Wも低いにもかかわらず、スコアは上回っている。

続いて、Cinebench 2024のマルチコアを10分間動作させたときのCPU温度、動作クロック、消費電力の推移を確認しよう。「HWiNFO Pro」を使用し、CPU温度はIntel系が「CPU Package」、Ryzen 9 9950Xが「CPU (Tctl/Tdie)」の値、動作クロックはIntel系が「P-core 0 Clock」、Ryzen 9 9950Xが「Core 0 T0 Effective Clock」の値、CPU単体の消費電力は「CPU Package Power」の値だ。

温度はCore Ultra 9 285Kが平均78.2℃、Core Ultra 5 245Kが平均62.6℃、Core i9-14900Kが平均79.6℃、Ryzen 9 9950が平均85.3℃だ。Core Ultra 9 285KはCinebench 2024のスコアでCore i9-14900KやRyzen 9 9950を上回りながら、温度は低くなってる。それでいて動作クロックは5.2GHz前後とRyzen 9 9950とほぼ同等だ。

消費電力は、Core Ultra 9 285KのMTPが250W、Core Ultra 5 245Kが159W、Core i9-14900Kが253W、Ryzen 9 9950のPPTが200Wというのを考慮して見てほしい。Core i9-14900KとRyzen 9 9950はほぼ上限で推移。Core Ultra 9 285Kは平均205W、Core Ultra 5 245Kは平均113Wなので、上限よりもかなり下回る動作だ。ここでも電力効率重視の設計が見える部分。電力や温度のリミット限界まで動かすという方針ではなくなったのは、筆者としては歓迎したいところだ。
ポテンシャルは感じるが、それを活かせる環境がどこまで用意できるか

ここまでがCore Ultra 9 285KとCore Ultra 5 245Kの検証だ。Cinebench 2024やHandBrakeの結果を見る限り、前世代を上回る高いポテンシャルは感じられる。その一方で実ゲームではフレームレートがあまり伸びていない場面がある。ゲーム系の処理が苦手なのか、まだ最適化が進んでいないのか。前世代よりも低消費電力で低発熱と使いやすさは増しているだけに、NPUも含め、Core Ultra 200Sシリーズを活かせるOSやアプリ環境をどこまで整えられるかが勝負ではないだろうか。設計が大きく変わったことで、成熟待ちという部分はあるだろう。今後の発展が楽しみなCPUである。

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