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『光る君へ』第32話、内裏の火事に視聴者最注目 画面注視データを分析

2024年09月01日06時00分 / 提供:マイナビニュース

●手を取り合って乗り越えようとする姿に“くぎづけ”
テレビ画面を注視していたかどうかがわかる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、8月25日に放送されたNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合 毎週日曜20:00~ほか)の第32話「誰がために書く」の視聴者分析をまとめた。

○一条天皇の身を案じてその場に留まった彰子

最も注目されたのは20時30~32分で、注目度81.5%。内裏で火事が起こるシーンだ。

一条天皇(塩野瑛久)が周りの反対を押し切り、亡くなった皇后・藤原定子(高畑充希)の兄・藤原伊周(三浦翔平)を再び陣定に召し出す宣旨を下した。ひそかに集まっていた2人の大納言である藤原実資(ロバート・秋山竜次)、藤原道綱(上地雄輔)と、右大臣・藤原顕光(宮川一朗太)は不満をあらわにする。前代未聞の沙汰に、実資は不吉なことが起こるのではと懸念するが、その不安は見事に的中する。

そして、それは皆既月食の夜に起きた。誰もが皆、漆黒の闇を恐れて引きこもり、内裏は静まりかえっている。一条天皇は灯をともし『源氏物語』を読みふけっていたが、突然、光が失われた。その直後、闇の向こうから恐ろしい悲鳴が響いた。温明殿と綾綺殿の間から火の手が上がり、瞬く間に内裏に燃え広がっていたのだ。

一条天皇は炎から逃れつつ藤壺へ向かうと、燃えさかる炎の中で、ただひとり立ちつくす妻・藤原彰子(見上愛)の姿があった。「敦康はどこだ!」一条天皇は敦康親王(池田旭陽)の安否を問う。「ただいま、お逃がしまいらせました」彰子は答える。今まさに、炎に飲み込まれてしまうかも知れない恐ろしい事態に直面している彰子だが、その声には怯えが感じられない。しかも敦康親王はすでに難を逃れているという。「そなたは何をしておる?」一条天皇の問いかけに、彰子は「お上はいかがなされたかと思いまして…」と答えた。なんと彰子は、この状況の中で、一条天皇の身を案じてその場に留まっているのだ。

この瞬間、一条天皇の中で、彰子の存在がこれまでとはまったく違うものに昇華した。「参れ」一条天皇は彰子の手を取ると急いで駆け出した。夫にともなわれ彰子も走った。「あっ!」普段走ることなどない彰子は、足がもつらせて廊下に倒れた。「大事ないか!」一条天皇は彰子に単衣をかけなおし、抱きかかえて妻の身体を起こした。一条天皇はしっかりと彰子を支え、再び駆け出し、2人は外へと抜け出した。

○「少女マンガそのまま」2人の愛を祝福する声

注目された理由は、ハリウッド映画さながらの迫力ある映像と、一条天皇と彰子が手を取り合って危機を乗り越えようとする姿に、視聴者の視線が“くぎづけ”になったと考えられる。

一条天皇と彰子の仲は深まる気配がなかったが、彰子は定子の忘れ形見である敦康親王には愛情を注いで養育してきた。土産を持ってきた道長にきちんとお礼を述べさせたのも、礼儀を教えるだけでなく、当時の最高権力者である道長の心証を少しでもよくするための方策と考えてのことと思われる。火事場という極限の環境で、自らの命をかえりみず、一条天皇と敦康親王を案じる彰子の姿に、一条天皇と同様に感動を覚えた視聴者は多かったのではないか。

X(Twitter)でも「彰子様、まだ17歳ぐらいのはずなのに只者ではない」「炎の中、帝の身を案じて内裏で待っていた彰子様。そりゃ胸を打たれるよね」「胸キュン展開来た!」「避難の姿が美しすぎる」「彰子を伴って脱出する一条天皇が少女マンガそのまま」と、ようやく芽生えた2人の愛を祝福する投稿が多く見られた。

なお、2人が手を取り合って内裏から脱出したのは史実。その様子は道長の日記『御堂関白記』や、実資の日記『小右記』に記述がある。一条天皇の在位期間中に、内裏は3度も火事に見舞われている。1度目は999(長保元)年の出来事で、第21回「旅立ち」で、定子が清少納言に連れられて脱出する姿が描かれた。2度目は1001(長保3)年に起きており、『光る君へ』では描かれなかったが、再建した内裏が全焼している。

そして、3度目が1005(寛弘2)年の今回の火事。現代と比べて、建物の耐火基準や防火設備が進んでいない時代のため、火事の脅威は現代の比ではない。火事という非常事態の中で思いがけず進展した夫婦仲が、今後の物語にどのような影響を及ぼすのか。要注目だ。

●藤原伊周、再び勢力を盛り返そうと一条天皇に接近
2番目に注目されたのは20時35~36分で、注目度79.9%。藤原伊周が再び勢力を盛り返そうと一条天皇に接近するシーンだ。

「中宮様を御自らお助けくださった由、強きお心に感服いたしました」左大臣・藤原道長は一条天皇に、内裏をおそった火事から、娘である中宮・藤原彰子を助けてくれた御礼を述べた。「中宮ゆえ、当然である。そなたのことは頼りにしておる。されど中宮、中宮と申すのは疲れる。下がれ」一条天皇にとって、ことあるごとにわが娘を引き合いに出し、その存在を訴えてくる道長は、わずらわしいとしか言いようがない。「はっ」そんな一条天皇の心情がわからない道長ではない。表情も変えず一礼し、それ以上はなにも言わずその場を立ち去った。

帝の元から下がる道長とは逆に、帝の元へ上がろうとする者がいた。近ごろ陣定に復帰した藤原伊周である。2人は視線も言葉も交わすことなく廊下をすれ違うが、互いに心のうちは平穏ではない。伊周は笑みを浮かべ帝の元へと進んだ。一条天皇に謁見した伊周は、「誰も申さぬと存じますが、この火の回り具合からすると、放火に違いございませぬ。火をつけた者が内裏におるということでございます!」火事の原因は未だ究明されていないが、放火だと強く主張した。

「こたびの火事は私を陣定に加えたことへの不満の表れだと言われております。たとえそうであろうとも火をつけるなぞ、お上のお命を危うくするのみ。そういう者をお信じになってはなりませぬ。お上にとって信ずるに足る者は私だけにございます」伊周の言い分に論理的な矛盾はない。伊周は、一条天皇の妹・皇后藤原定子への変わらぬ寵愛とその子・敦康親王の存在をよりどころに、道長を追い落とし、自身が復権する日を信じて疑わなかった。

○「妹を盾にした兄アピールがすごい」

このシーンは、性懲りもなく権力を取り戻そうとする伊周を、視聴者は温かい視線で見守ったのではないだろうか。

伊周は初登場時こそ高い家格を誇り、才能にあふれる強キャラとして描かれていた。しかし、長徳の変で失脚してからというもの、流罪を命じられても往生際が悪く逃げ回ったり、ノーコン呪詛を連投したりするうちに、すっかり愛すべきネタキャラへと変貌を遂げてしまった。

そんな伊周だが、清少納言が書いた『枕草子』を内裏で流行させ、すでに崩御している妹である皇后・藤原定子の影響力を持続させることに成功。その甲斐もあって、再び陣定に出席する立場を取り戻すことができた。

なりふり構わず復権を果たした伊周に対して、SNSでは「伊周、堂々としていて素晴らしかった」「伊周、悦ってる」「現在の敵役をすべてになっている」「伊周の妹を盾にした兄アピールがすごい」と、温かく見守るコメントが多く寄せられた。

なお、直前の場面に登場した居貞親王(木村達成)は、次の天皇と約束された東宮、つまり皇太子でのちの三条天皇。一条天皇の前に在位していた花山法皇(本郷奏多)の異母弟で道長の甥にあたる。一条天皇の譲位を強く望んでいる居貞親王は伊周にとっては政敵と言える。花山法皇・居貞親王の父にあたる冷泉天皇は丸1日のあいだ蹴鞠をしたり、病気で寝ているのに大声で歌ったりとクレイジーな逸話が多く伝わっている。花山法皇はその血を色濃く受け継いでいるが、居貞親王はどうなのか。今後の言動に注目だ。

今回の火事で焼失したとされる「八咫鏡(やたのかがみ)」は、ファンタジーものなどでもおなじみの三種の神器の一つ。「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ/草薙剣)」「八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)」とともに歴代の天皇に古代より伝わってきた宝物だ。今回焼失した「八咫鏡」だが、史実では火事が起きる前は3枚存在し、そのうち2枚が今回の火事で焼失したといわれている。しかし、残る1枚も1040(長歴4)年に起きた火事で焼失し、修復もされずに鏡の破片などが神鏡として安置されていたようだ。長年伝わった神器を焼失したことは、譲位を迫る材料の1つとするには十分だろう。

●為時「お前が…おなごであってよかった」
3番目に注目されたシーンは20時40分で、注目度76.5%。中宮・藤原彰子の女房となるため、藤壺に上がるまひろ(吉高由里子)を一家が見送るシーンだ。

ついにまひろが藤壺へ出立する日がやってきた。外は雪がしんしんと降り積もっている。「では、行ってまいります」まひろが父・藤原為時(岸谷五朗)に頭を下げた。「うむ。帝にお認めいただき、中宮様にお仕えするお前は我が家の誇りである」為時は感慨深く言葉を発した。「大げさですねえ。俺、内記にいるから遊びに来なよ」と、いつも通りの軽い調子で口を挟むのは弟・藤原惟規(高杉真宙)だ。「中務省まで行ったりしてもいいのかしら?」「待ってるよ」あっけらかんと話す弟に、まひろの顔がゆるむ。「父上、賢子(福元愛悠)をよろしくお願いいたします」もう一度為時に頭を下げると、「頼みましたよ」と後ろに控えるいと(信川清順)を振り返った。「お任せくださいませ!」感極まったいとは、賢子を抱き寄せ力強くうなずいた。

その一方、賢子の表情はどこか晴れない。「身の才のありったけを尽くしてすばらしい物語を書き、帝と中宮様のお役に立てるよう祈っておる」「大げさだな…」「精いっぱい務めてまいります」親子3人の会話が続く。「お前が…おなごであってよかった」ふいに為時が言った。父の意外な言葉に、まひろの心は大きく揺れた。父は常々、頭脳明晰なまひろに、「おまえがおのこであったらよかったのに」と、残念そうに言い続けていた。そんな父が、まひろがおなごでよかったと言った。その場にいた者の目に涙が浮かぶ。しかし、まひろは泣くのを必死にこらえた。そして父に笑顔を向けた。

まひろは藤壺へ到着すると、そこからは女の園特有の異様な雰囲気を感じとった。まひろは奥の間で、彰子に仕える女房たちと対峙(たいじ)する。左大臣・藤原道長の肝煎りであたらしくやってくる中級貴族の娘とは、一体どのようなおなごなのか、どの女房たちの目も好奇心と嫉妬心があふれている。後方で控える赤染衛門ただ1人を除いては。

○「父が子のことを認める瞬間」に反応

ここは、父・為時の一言に視聴者の注目が集まったと考えられる。

これまでまひろは、あふれる学問の才能を持ちながらも、生かすことができずに過ごしてきた。賢子に学問を教えようとしても、父・為時や弟・惟規は否定的だった。しかし、まひろは周りに流されずに自分の信じる道を貫き続けた結果、ついにその文才は世間から求められるようになり、そういった状況を為時が素直に喜べる日がやってきた。

ネット上では、苦難の末に自分の居場所をつかんだまひろとその一家に、「ずっと男だったらって言われてきたまひろが本当に嬉しそう」「父が子のことを認める瞬間っていいよね」「惟規くんやいとさんの表情がよかった」といった優しいコメントがあふれた。しかし、まひろと賢子の間の溝は深まるばかり。母娘が本当に打ち解ける日はやってくるのだろうか。

そして、彰子に仕える6人の女房たちが初登場を果たした。そのうちの1人、「宰相の君」を演じる瀬戸さおりが話題となっている。瀬戸は、2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、トキューサこと北条時房を演じた瀬戸康史の妹で、兄と同じワタナベエンターテインメントに所属。福岡県出身の34歳で、女優の山本美月は義理の姉にあたる。まひろに強烈なプレッシャーをかける6人の女房たちだが、彼女たちはみな高い家柄の出身で、受領階級の出であるまひろを下に見ている。

彰子サロンにおける今後の見どころとしては、まひろの奮闘とのちにサロンに投下される核弾頭、平安のパリピギャル・あかね(和泉式部/泉里香)の活躍が挙げられるだろうか。女の園を舞台にどのような騒動が展開されるのか、来週が待ち遠しい。

●ユースケ・サンタマリア、最期のシーンに喜び
第32回「誰がために書く」では1005(寛弘2)年の様子が描かれた。今回は、内裏で起こった火事を契機に、一条天皇と中宮・藤原彰子の関係に変化が生じた。また、火事の原因について、居貞親王や藤原伊周など様々な人物がその思惑をあらわにした。そして、まひろはついに彰子に女房として仕え、『源氏物語』の執筆に本腰を入れることとなった。

注目度トップ3以外の見どころとしては、作家としての本領を発揮しだしたまひろを身近で見て、「俺がほれた女は、こういう女だったのか…」とつぶやく道長や、己の信念のまま突き進む藤原隆家、今回で退場となった安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)が挙げられる。ナレ死ではなく、きちんと最期のシーンを与えられた安倍晴明役のユースケ・サンタマリアは、『光る君へ』公式Webサイトのインタビュー記事「安倍晴明とは何者だったのか」の中で、前回出演した大河ドラマ『麒麟がくる』の朝倉義景役ではナレ死だったため、今回は亡くなるシーンがしっかり描かれてうれしかったと話してる。やはり俳優にとってもナレ死はつらいのだろうか。

また前回と同様、藤原公任(町田啓太)、藤原実資の小野宮流コンビと藤原斉信(はんにゃ.・金田哲)が3人で織りなすコントはSNSでも話題となっており、「嬉しそうな公任さま見てるだけで嬉しくなってくる。実資さまありがとう!」「公任さま可愛かったね」「公任さまもコント要員になりつつある」「従二位、従二位、正二位が頭から離れない」といった、町田の新しい一面に魅了されたたくさんのファンを中心に大きな反響があった。この勢いのまま、スピンオフで芸人トリオ「クギョーズ」として活動してほしい。

きょう1日に放送される第33回「式部誕生」では、藤式部と呼ばれ、中宮・藤原彰子の女房として藤壺で働き始めるも、慣れない環境で筆の進まないまひろや、一条天皇の命で除目の儀に復帰するや不穏な動きを見せる藤原伊周が描かれる。次回は果たしてどのシーンが最も注目されるのか。

REVISIO 独自開発した人体認識センサー搭載の調査機器を一般家庭のテレビに設置し、「テレビの前にいる人は誰で、その人が画面をきちんと見ているか」がわかる視聴データを取得。広告主・広告会社・放送局など国内累計200社以上のクライアントに視聴分析サービスを提供している。本記事で使用した指標「注目度」は、テレビの前にいる人のうち、画面に視線を向けていた人の割合を表したもので、シーンにくぎづけになっている度合いを示す。 この著者の記事一覧はこちら

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