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「静かな退職」とは? マネジメント層はどう向き合うべきか

2024年08月26日10時00分 / 提供:マイナビニュース

淡々と必要最低限の業務をこなす「静かな退職」。若手社員の新たな働き方として注目されているものだが、そのような状態に至ったメンバーにマネジメント層はどのように向き合えばよいのだろうか。社員の個性・才能を発掘する"タレントマネジメントシステム"「カオナビ」のアカウント本部 エンタープライズビジネス部 部長の野田和也氏に解説してもらった。
「メンバーのやる気がない」管理職の悩み

Q.「最近、新人が入社数カ月で著しくモチベーションを下げたきり、やる気を見せなくなるケースが続いています。コレって……?」(40代・会社員・管理職)

A. 野田氏の回答

このケースは、いわゆる「静かな退職(Quiet Quitting)」と言われるものですね。実際に退職するわけではないのですが、まるで退職したかのように落ち着き払い「淡々と必要最低限の業務だけをこなせばいい」と考えるに至った状態のことを指します。

マネジメント層からすると「入社から数年間は働きはじめ。キャリア・スキルアップのためにがむしゃらに働いてみる時期のはず」と感じますが、Z世代の若者の中には、入社間もなく「仕事は最低限で、プライベートや副業に力を注いだ方が現実的でコスパがいい」と割り切る方も少なくありません。

デジタル・スマホネイティブである彼らにとって「自分に最適なものを選ぶこと」や「個の発信」は当たり前。ですが、会社でそれを実現するのは難しい。自分に合った会社を選んだつもりでも「成果主義だと思ったら実質年功序列だった」「風通しがいいと思ったのに意見を聞いてくれなかった」「望んだ部署に配属されなかった」というのはよくある話です。

彼らはコロナ禍などで急速な社会変容を目の当たりにしてきたこともあり、決断のスピードは前世代よりもずっと早く、現実的かつ効率的な選択を好みます。入社からごくわずかの期間で会社の現実に失望した彼らが「ここで頑張ったところで優良企業に入った同世代との差は開くばかり。それならこちらだって、この会社をうまく使ったらいいじゃないか」と考えるのは決して不思議ではありません。
「静かな退職」はZ世代特有か

しかし、こうした意識に陥ること自体がZ世代特有かというと、そうではない気がします。

以前から「腰掛け」「ぶら下がり」というキャリアアップを志向しない状態を表す言葉はありました(実際「静かな退職」は40〜50代にも多いと言われています)。そして、そう揶揄された方々にも「成長したい」「幸せになりたい」「より良くなりたい」というエネルギーはあったはずです。ただ残念なことに、Z世代以前のハッスルカルチャーにおいては、ライフや会社以外での充実を賞賛するような風潮は無く、個性や個別の希望に応じて最適化したキャリアプランはほとんど作られてきませんでした。

現在起きている「静かな退職」という現象は時代の変わり目に発生しているため特異に感じられてはいますが、問題の根自体は以前からあり続けているのだと思います。そして、多様な働き方や価値観に対応するようなロールモデルがいないため「静かな退職」をする人たちはどこにエネルギーを注げば良いかわからなくなっている人たちもいると思います。

こうした中、今まさにマネージャー層に求められているのは、若手を含めた業務へのモチベーションが下がっているメンバーの意欲と能力を引き出し、個性を発揮させていくタレントマネジメントを行うこと。そして、社内に正のロールモデルが生み出されていくよう導いていくことではないでしょうか。
マネジメント層が正のロールモデルへと導くべき

では「静かな退職」が危ぶまれるメンバーに対して、具体的にマネジメント層はどのように向きあっていけばいいのでしょうか。

大事なのは、リアルタイムにメンバーと会社の「ズレ」を察知し、メンバーの低下した意欲を再び引き出しながらその隙間を埋めていくことです。そのために、会社のマイルストーンを熟知したマネジメント層は、そのマイルストーン上で個々のメンバーがやりたいことに近い現実的な役割案を考え、提案していくことは有用です。

「ボトムアップで個々に考えさせるべきなのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし実は、若手の自立心ベースではどうしても会社のミッション達成とかけ離れてしまうこともあります。実現させられずにかえって失望させたり実現しても結果が出なかったりすると「思っていた結果と違った」と退職してしまうリスクもあるのです。

ですから、マネジメント層がメンバーの真意を汲み取り、それを会社のミッションと掛け合わせ実現できる支援を行うことが大事です。「〇〇の企画をやりたいと言っていたよね。関連プロジェクトが立ち上がるから、参加してみる?」と言ったように提案し、「社内での正のロールモデル」を生み出していけるように導いていくのが理想です。

……とはいえこの話、マネジメント側にとってはコミュニケーションといった属人的スキル・時間コストの要求値が非常に高く「無茶を言うな!」と思わず声をあげたくなってしまうのが普通だと思います。HRシステムなどサポートツールでマネジメント層の業務負荷を軽減していくことが、実は同じぐらい重要なのかもしれません。

野田和也(カオナビ) 株式会社カオナビ アカウント本部 エンタープライズビジネス部 部長 慶應義塾大学卒業後、新卒で大手コンサルティング企業に入社し、デジタル部門のコンサルタントとしてCRMプロジェクトなどを担当。その後カオナビに入社、開発からセールス・サポートまでの事業戦略策定に従事。マネージャーとして、多数の自治体、エンタープライズ企業を支援した後、同部門の部長に就任、現在に至る。 この著者の記事一覧はこちら

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