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「昇給率」が高い業種は? 大企業と中小企業でどのくらい違うか調べてみた

2024年05月09日09時19分 / 提供:マイナビニュース

春から新社会人として働きだした人たちにとって、5月6月は仕事にも慣れてきて、自分の置かれている状況を改めて見直すことができる時期です。先輩社員に自分の5年後、10年後の姿を重ねてみて、その頃は給料いくらもらっているかなと想像するのもいいでしょう。実際、将来の給料を予想するためには、「昇給率」について知っておくとより現実的な予測が立てられます。本記事では、「昇給率」の基礎知識、昇給率が高い業種、大企業と中小企業の昇給率の違いなどをご紹介します。

昇給率とは

昇給率とは、昇給後の給料が昇給前に比べてどのくらい増えたかを表したものです。昇給には大きく分けて、「定期昇給」と「ベースアップ(ベア)」があります。

ベースアップ(ベア)は、2月頃に行われる「春闘」のニュースで耳にしたことがあるのではないでしょうか。春闘は、春季闘争の略で、毎年その時期に行われる、ベースアップなどの賃上げや労働時間の短縮などといった労働条件を改善するための交渉のことです。ベースアップは、全社員の給与の基本給部分(ベース)を一律に上げることを意味します。ベースアップが行われると、全社員のモチベーションが向上し、会社全体の雰囲気がよくなる、生産性アップが期待できるなど、ベースアップは会社側にもメリットをもたらします。

一方、定期昇給は、個人の成績や勤続年数などを踏まえて、定期的に給料が上がる制度です。求人などに「昇給年1回」など書かれているのを見たことがあるでしょう。毎年4月に1回あるいは4月と10月に2回など、会社によって昇給の時期や回数はさまざまです。定期昇給によって、年齢が上がるほど給料が高くなる日本企業の終身雇用制度が成り立っているともいえます。そのため成果主義の外資系企業には定期昇給がないことがほとんどで、それに倣ったベンチャー企業やIT企業などでも、定期昇給を取り入れないケースが増えています。

昇給率に話を戻すと、どのくらい昇給したかを割合で表したものが昇給率であり、ベースアップ(ベア)も定期昇給もどちらも昇給に変わりはありません。そのため一般的に、昇給率あるいは賃上げ率といったときは、基本給を底上げするベースアップと定期昇給を合わせたものになります。
*昇給率の計算式

昇給率(%)=昇給後の給与÷昇給前の給与×100

例)初任給が20万円で1年後に20万5,000円に上がった場合
20万5,000円÷20万円×100=102.5%

昇給率は2.5%になります。
業種別の昇給率

昇給率は、個人の昇給率、会社全体の昇給率、業種全体の昇給率など、対象によってさまざまです。ここでは業種別の平均昇給率をご紹介します。

日本経済団体連合会(経団連)が公表している「2023年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(加重平均)」と「2023年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(加重平均)」から、大企業と中小企業の業種別の平均昇給率を見てみましょう。
*大企業の業種別昇給率

2023年の平均昇給額は1万3,362円、平均昇給率は3.99%となっています。2022年と比べると昇給額は5,800円増えて、昇給率は1.72ポイント増と大幅にアップしています。経団連によると、平均昇給率が3%台後半を記録するのは、1993年(1万835円、3.86%)以来30年ぶりとのことです。

業種ごとに見てみると、機械金属業、造船業が5%を超えており、非鉄・金属、繊維、化学、自動車、建設業などが4%台となっています。2022年は3%台ですら1業種もなかったことを考えると、2023年は大幅な賃金の引き上げが実施されたことがわかります。

続いて、中小企業の業種別の昇給率を見てみましょう。
*中小企業の業種別昇給率

2023年の中小企業の平均昇給額は8,012円、平均昇給率は3.00%となっています。2022年と比べると昇給額は2,976円増えて、昇給率は1.08ポイント増とアップしています。経団連によると、平均昇給額が8,000円を超えるのは1993年(9,124円)以来、平均昇給率が3%台を記録するのは1994年(3.00%)以来のことで、約30年ぶりの高い水準となっています。

業種ごとに見てみると、鉄鋼・非鉄金属、機械金属、紙・パルプ、食品、その他製造業が3%を超えており、製造業の昇給率が高いことがわかります。
企業規模別の昇給率

大企業の平均昇給率は3.99%、中小企業の平均昇給率は3.00%と約1ポイントの差があります。従業員数によって昇給率はどのくらい変わるのか規模別の昇給率を見てみましょう。

2023年は100~300人未満の企業の方が100人未満の企業よりも平均昇給率が下がっていますが、概ね企業の規模が大きくなるにつれて昇給率が高くなる傾向があります。

これは大きい企業ほど利益の上昇幅が大きいため、昇給に対応できる資金の確保が容易であることが理由となるでしょう。
昇給率を知ってキャリアプランを立てよう

昇給率はその会社の成長度合いを知るための指標になります。昇給率が低い、あるいは昇給制度がない会社は、将来性がない会社と見極めて、場合によっては転職を考えるのも一つの方法です。昇給率に着目して、自身のキャリアプランを立ててみるのもいいでしょう。昇給率がわかれば、自分の10年後、20年後の年収が予測できます。それによって実現可能性の高いライフプランを立てることができるでしょう。

石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。ブログ「ファイナンシャルプランナーみかりこのお金の勉強をするブログ」も運営中! この著者の記事一覧はこちら

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