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有働由美子『news zero』卒業と50代人気アナの相次ぐ退局…NHKアナの「第2の人生」が変わった背景

2023年12月20日11時00分 / 提供:マイナビニュース

●武田真一、松尾剛、武内陶子と看板アナが新たな道へ
14日、日本テレビが『news zero』のメインキャスター・有働由美子が来年3月いっぱいで卒業し、後任を同局の藤井貴彦アナウンサーが務めることを発表。有働自身も「気づけば現在54歳! 次の新たなことにチャレンジする時は今しかないと考え、このたび快く送り出してくれることになりました」などとコメントした。

有働は2018年3月で27年間過ごしたNHKを退職し、同年10月から同番組のメインキャスターに就任。5年半にわたって番組の顔を務め、常に時間帯トップクラスの視聴率を記録してきた。チャレンジする「次の新たなこと」が気になるところだが、現在の有働は視聴者と業界内でどんな目で見られ、どんなポジションにいるのか。

一方で今年は、2月に武田真一(56歳)、6月に松尾剛(56歳)、9月に武内陶子(58歳)と、人気番組の司会を務めたNHKのベテラン看板アナが相次いで退局している。有働に加えてNHKアナウンサーたちのキャリアについて、テレビ解説者の木村隆志が掘り下げていく。

○■番組卒業が良いタイミングの理由

有働は14日放送の『news zero』オープニングに、大きな2枚の絆創膏(ばんそうこう)を貼った姿で登場。「階段を踏み外して顔を打ってしまって、お見苦しくて申し訳ございません。忘年会シーズン、みなさんもお気をつけください」と話して頭を下げた。さらにエンディングでは同番組の卒業にも触れつつ、「でもこの顔で言われてもね……ホントに。階段踏み外して顔面が床についちゃったんですよ」とこぼして笑いを誘うことも忘れない。

このような率直さや自虐トークは、『あさイチ』(NHK総合)でたびたび話題になった“脇汗”を筆頭に、NHKのアナウンサー時代からまったく変わらず、有働の人気を支えてきたものだった。「好きなアナウンサーランキング」でも上位の常連であり、かつて若いアナウンサーばかりだったランキングを変えた一人と言われている。

しかし、そんな「率直でウソをつけない人」「最も信頼できる人」というクリーンなイメージが今年、崩れ始めていたのも事実。旧ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏による性加害騒動で、月曜キャスターの櫻井翔がなかなかコメントせず、メインの有働も踏み込まなかったことで、批判の矛先が向き始めていた。有働の責任とは言えないのだが、今回の番組卒業に際しても「隠している」「良いキャスターだったのに」などの不満がネット上にあがっている。

旧ジャニーズ事務所の対応とスタッフの方針などに巻き込まれてしまっただけに、このタイミングでの番組卒業は、むしろ有働にとっていいものになるのではないか。もともと有働はNHKの退局時に、「海外での現場取材や、興味ある分野の勉強を自分のペースで時間をかけてしたい」などとジャーナリスト志望のコメントを発していた。

番組卒業によって今後は「これまで報道番組でメインキャスターを務めているからできなかったことを自分のペースで行っていく」ことができる。例えば、日テレに限らず“報道特番におけるスペシャルキャスター”のジョーカー的な存在としての活躍も十分可能だろう。また、動画配信サービスやSNSでの自由な発信も本人次第で実現できるはずだ。

さらに、報道番組のキャスターを卒業することで、かねてから「もう1つの才能」と業界内で評価されていたバラエティ出演を増やすことも可能。有働の所属は、くりぃむしちゅー、マツコ・デラックスらが所属するナチュラルエイトであることも含め、この点も本人の気持ち1つだろう。

●現役にこだわるか、指導者になるか

今年退局したNHKのベテランアナウンサーたちを改めて見ていくと、まず武田真一は4月から情報番組『DayDay.』(日テレ)の総合司会に就任。同番組はエンタメの要素が濃い上に、本人もバラエティへの意欲を隠さず、さっそく日テレを中心に多数出演している。ただ、大手芸能事務所ではなく個人事務所であり、妻が代表兼マネージャーを務めるという形を選んだだけに、少なくとも『DayDay.』出演中はマイペースに活動していくのではないか。

武内陶子は退局後も『ごごカフェ』(NHKラジオ第1)のパーソナリティを継続しつつ、さっそく『ネプリーグ』『ぽかぽか』」(フジ)などの民放バラエティにもゲスト出演。「“武内陶子・第2章”では、これまでできなかったこと、やれなかったこと、やりたかったことを1つ1つやっていきたい」と語っていたほか、サンミュージック所属だけにNHK時代とは異なる姿を見せてくれるだろう。

2人が民放で活躍する一方、松尾剛は7月からNHK財団で企業研修や学生向けセミナーなどの講師として活動中。つまり、講師に転身して、後進の育成に励んでいるという。この3人は「早期退職制度を利用して退局した」と言われているが、松尾はまだアナウンサーの現役として活動することもできただけに、その決断は武田、武内とは異なるものだった。

民放ほどではないがNHKのアナウンサーたちもベテランになると仕事内容が変わり、管理職としての仕事が増える反面、ニュースを読む機会や現場取材などが減っていく。さらにベテランたちは退局してフリーになったあとも、「まだ現役にこだわるか、一線を退いて後進の指導者に転身するか」などの選択を迫られる。ただ、少なくとも有働がまだ後者となることはないのだろう。
○■転職組と異色ブレイクの神田愛花

対象を今年に限らず過去に広げると、2021年3月で退局した近江友里恵は当時32歳で一般企業に転職。18年9月に退局した島津有理子は当時44歳で医学部を受験。16年3月に退局した内多勝康は当時52歳で医療福祉業界に転職した。年齢こそ異なるが、「アナウンサーという職種にこだわりすぎず、自分のやりたいことを追求しよう」という意志が感じられる。

これまでは民放ではなくNHKを選んでアナウンサーになった時点で「安定志向の人が多い」と見られがちだったが、彼らはいい意味でNHKのアナウンサーというブランドを手放しやすいようになったのだろうか。もちろん定年まで勤めることも美学として健在であり、経済的な安定を得られることも間違いない。ただ、武田、松尾、武内のように早期退職制度を利用し、早めに辞めてやりたいことを追求する人が増えたことは確かだ。

しかし、近江、島津、内多はそれ以前に、「取材で得た情報、問題意識、モチベーションなどを次のステップに生かしたい」という思いが感じられる。そう考えると、有働もこれまでのようにキャスターとして活動し続ける必要性はなく、自由なキャリアを築いていけるのかもしれない。

ちなみに12年3月で退局した神田愛花は、今年『ぽかぽか』(フジ)のMCに起用されたほかバラエティ出演を重ね、お笑い賞レースの王者たちを抑えて「2023ブレイクタレント」(ニホンモニター調べ)のトップに輝いた。言わば神田は第2の人生をバラエティタレントとして過ごしているのだが、それでもたびたび安藤優子らを目標に掲げていたことから先輩・後輩の姿に刺激を受けて、いつキャスターやジャーナリストに転身しても驚かない。

逆に、有働が今年の神田のようになっても驚きはなく、それだけNHKのアナウンサーたちが自由にキャリア形成しやすいムードが生まれているのではないか。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら

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