2023年12月13日22時12分 / 提供:マイナビニュース
ブラウザ上でPythonを動かすライブラリPyScriptがとても便利だ。Pythonの便利機能をブラウザだけで利用できるため、ちょっとしたツールを配布する際にも便利だ。NumpyやPandasなど有名なライブラリも利用できる。今回は、PyScriptとMatplotlibを利用してブラウザ上でグラフを描画してみよう。
○PyScriptとは?
PyScriptとは、HTMLの中にPythonのスクリプトを書いて実行できる実行環境だ。Anacondaが開発しており「99%の人にプログラミングを提供すること」を目標に挙げている。
PyScriptが強力なのは、JavaScriptなどにコンパイルされて実行される訳ではなく、WASMを利用してC言語で実装されたPythonそのものをブラウザ上で動かしている点にある。これは、以前、本連載でも紹介したPyodide(https://pyodide.org/)をベースにして開発されており、効率的にPythonのプログラムを実行できる。Anacondaによる解説によると、下記のような仕組みとなっている。
なお、Pythonを使うメリットには、使いやすく便利なライブラリの存在が挙げられる。それで、PyScriptでも、Numpy、Pandas、Scikit-learnなど有用で有名なライブラリが利用できるよう配慮されている。
今回は、Pythonでグラフを描画するのに便利なライブラリMatplotlibを利用して、グラフを描画してみよう。
○PyScriptを使うには?
PyScriptで開発をするのに必要なのはブラウザだけだ。HTMLに以下のようなタグを記述すると、自動的にブラウザがPyScriptの実行エンジンをダウンロードして実行してくれる。以下が画面に「Hello, World!」と表示するだけの最も簡単なプログラムだ。
上記のコードを「hello.html」という名前で保存して、Webブラウザにドラッグ&ドロップすると、次のように画面に「Hello, World!」と表示する。
HTMLのコードを確認してみよう。(*1)では、PyScriptを使うために必要なコードだ。この二行のコードを記述することでPyScriptが利用可能になる。
そして、(*2)の部分にPythonのプログラムを記述する。
packages = ["matplotlib"]
上記のHTMLコードを「sine.html」という名前で保存したら、Webブラウザにドラッグ&ドロップしてみよう。すると、次のように表示される。
.