2023年12月03日13時42分 / 提供:マイナビニュース
●『原神』が3年連続「GRAND AWARD」受賞!
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、12月1日に「PlayStation Partner Awards 2023」を開催。この1年でヒットしたPlayStation 5(PS5)、PlayStation 4(PS4)フォーマットの各タイトルを表彰した。
また、受賞にあたり、各タイトルの代表者によるメディアインタビューを実施。なお、『原神』『ソニックフロンティア』『ホグワーツ・レガシー』については後日回答の形で、当日のインタビューは行われていない。
「PlayStation Partner Awards」は、PlayStation向けに発売されたヒットタイトルに賞を贈呈するPlayStationの祭典。1994年、初代のPlayStation誕生翌年から「PlayStation Awards」として始まり、今年で通算29回目の開催となる。
それぞれの受賞タイトルは以下の通り。今年はPlayStation VR2(PS VR2)の全世界売上上位にランクインしたタイトル、さまざまな障がいへ配慮されたアクセシビリティに優れたタイトルを「SPECIAL AWARD」として表彰した。
【GRAND AWARD】
日本・アジア地域で開発されたソフトウェアメーカー各社のタイトルにおいて、2022年10月から2023年9月の全世界売上上位3作品。
『原神』(PS5/PS4)
『バイオハザード RE:4』(PS5/PS4)
『FINAL FANTASY XVI』(PS5)
【PARTNER AWARD】
日本・アジア地域で開発されたソフトウェアメーカー各社のタイトルにおいて、2022年10月から2023年9月の全世界売上上位にランクインし、特に注目すべき活動成果を残した作品。
『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』(PS5/PS4)
『eFootball 2023』(PS5/PS4)
『Wo Long:Fallen Dynasty』(PS5/PS4)
『ELDEN RING』(PS5/PS4)
『クライシス コア –ファイナルファンタジーVII– リユニオン』(PS5/PS4)
『ストリートファイター6』(PS5/PS4)
『ソニックフロンティア』(PS5/PS4)
【SPECIAL AWARD】
日本・アジア以外の地域で開発されたソフトウェアメーカー各社のタイトルにおいて、2022年10月から2023年9月の日本・アジア地域におけるPS5での売上最上位作品。また、同期間に日本・アジア地域で開発されたソフトウェアメーカー各社のタイトルにおいて、さまざまな障がいへ配慮されたアクセシビリティに優れた作品、およびPlayStation VR2の全世界売上上位にランクインした作品。
『ホグワーツ・レガシー』(PS5/PS4)
『ストリートファイター6』(PS5/PS4)
『バイオハザード ヴィレッジ VRモード』(PS5)
【USERS’ CHOICE AWARD】
日本およびアジア地域で2022年10月1日から2023年9月30日の間に発売され、同期間の総ゲームプレイ時間が多かった上位30タイトルのうち、日本およびアジア地域のユーザー投票によって選ばれた上位5作品。
『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』(PS5/PS4)
『バイオハザード RE:4』(PS5/PS4)
『FINAL FANTASY XVI』(PS5)
『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』(PS5/PS4)
『ホグワーツ・レガシー』(PS5/PS4)
2021年の「GRAND AWARD」受賞タイトルが『原神』『バイオハザード ヴィレッジ』『eFootball ウイニングイレブン 2021 SEASON UPDATE』、2022年の「GRAND AWARD」受賞タイトルが『原神』『ELDEN RING』だったので、『原神』は3年連続で「GRAND AWARD」を受賞。『ELDEN RING』は2022年の「GRAND AWARD」に続いて、2023年の「PARTNER AWARD」と、2年連続の受賞となった。
●リメイクならではの難しさがあった『バイオハザード RE:4』
以下で、メディアインタビューの内容を紹介する。掲載はインタビューが実施された順。
○『バイオハザード RE:4』(カプコン)
【登壇者】
プロデューサー 平林良章氏
ディレクター 安保康弘氏
――受賞について、ひとことお願いします。
安保氏:このような賞をいただけて大変うれしく思っています。
――原作の「核」を大事にした作品とのことですが、それを実現できたと感じる点について教えてください。
平林氏:原作で楽しんでいたお客さまの思い出が、『RE:4』をプレイしても感じられたというコメントを多々いただいたことです。我々が思っていた「核」をご体験いただけたのではないでしょうか。
――追加コンテンツ「セパレート ウェイズ」の反響を教えてください。
平林氏:ワイヤーを使ったアクションの新鮮さを感じられた、ストーリーから本編との関連性がクリアになったなど、ポジティブなご意見をいただきました。
――「RE」シリーズは今後も続けていくのでしょうか。
安保氏:「RE」はこれまで3作出していますが、大変ご好評いただけていると手ごたえを感じております。昔の作品を今の時代の方々に遊んでいただけることをうれしく思っていますので、我々としては続けたいですね。
――ユーザーの声で印象的だったものがあれば教えてください。
平林氏:リメイク作品は非常に難易度の高いミッション。お客さまに喜んでいただけるのか、不安でしょうがないまま邁進してきた日々でした。それがローンチをまたいだあとに「原作と同じくらい楽しめた」との声を聞けて、我々にとって救いになりましたし、印象深いものでした。
――「RE」シリーズが高いクオリティで定期的にリリースできている理由をどうお考えでしょうか。
安保氏:リメイクは、「作品を遊んだことのあるお客さま」がいる状態からスタートします。なので、ユーザーの声を拾える状態とも言えます。スタッフはそれを真摯に受け止め、ユーザー目線でのものづくりを心がけています。それが、評価いただけている理由ではないでしょうか。
平林氏:独自のゲームエンジン「RE ENGINE」を使っていることも挙げられると思います。これについての情報共有と積み上げが時間的な助けになっているのも事実です。
●『FF16』のDLCでは隠された闇や謎を体験できる?
○『FINAL FANTASY XVI』(スクウェア・エニックス)
【登壇者】
メインディレクター 髙井浩氏
クリエイティブディレクター&原作・脚本 前廣和豊氏
――今回、「GRAND AWARD」を受賞されましたが、作品のどのような点が評価されたとお考えでしょうか。
髙井氏:世界観やストーリーにこだわりぬいて作りました。その結果、心が揺さぶられるような体験をしていただけたのではないでしょうか。また、召喚獣合戦でもユーザーに驚きを与えられたのかなと思います。
――制作において大事にしたポリシーをお聞かせください。
前廣氏:一度コントローラーを持ったらクリアするまで離したくなくなるほど、世界観に没入してもらうことを大事にしています。また、ゲームデザイン、ストーリーをはじめ、細かいところまでストレスがないよう作りました。これだけたくさんのコンテンツがあると、ちょっと違和感があるだけですぐほかのゲームに向いてしまう可能性がありますからね。
――「ファイナルファンタジー」シリーズのナンバリングタイトルとして世界的にも注目されていたと思いますが、プレッシャーはありましたか? 発売前後でどう感じていたか教えてください。
髙井氏:スクウェア・エニックスとして大きなナンバリングタイトルですから、少なからずプレッシャーもありましたが、開発中はそこまで感じてはいませんでした。いよいよリリースが近づき、メディアのみなさんとお会いする機会が増えてきたあたりから、だんだん心臓がバクバクしてきて、リリース日には寝れないほど緊張しました。
体験版をリリースしたときは評判が良くて安心したんですが、評判が良すぎて「このままいかないだろ」という逆の不安が出てきましたね。多くの方にプレイしてもらって、賛否両論ありながらも世界中の人からよかったと言ってもらえてようやくひと安心しました。
――ゲーム内の用語をいつでも確認できる機能「アクティブタイムロア」の実装は大変だったかと思うのですが、苦労した点とやってよかったと思えた反響があれば教えてください。
前廣氏:メインストーリーでは2,000くらいシナリオの区切りがあります。それぞれ、プレイヤーが何を求めていて、どういう情報を提供すれば物語をより深く理解してくれるか、全部手作業で実装しました。テキストもひと呼吸で読めるくらいに調整したので、とても苦労しました。
ただ、発売後に「物語の理解が深まった」という声をいただいて、やってよかったと思うものの、あまりに手作業なので二度とやりたくないです(笑)。
――2種類のDLCが発表されていますが、目指しているものやユーザーにどんな体験を提供したいかなど、可能な範囲で教えてください。
髙井氏:『FF16』の世界をより詳しく知っていただける内容です。2つのエピソードはクライヴの物語に組み込まれる形になりますが、隠された闇の部分や謎を体験できるコンテンツとして、新たな強敵や、戦闘を楽しむための要素とともにお届けできる内容になっています。楽しみにお待ちください。
●『AC6』で目指すのは、すべてのパーツに光が当たること
○『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』(フロム・ソフトウェア)
【登壇者】
執行役員/プロデューサー 小倉康敬氏
ディレクター 山村優氏
――ソウルシリーズなどのヒットで海外からもより注目されるようになったと思います。どのような反響がありましたか?
小倉氏:詳細なレポートをまだ見ていないので肌感ではありますが、ソウルシリーズなどのタイトルで弊社を知っていただいた方にも「新しいメカアクション」を楽しんでいただけたのではないでしょうか。
――10年ぶりの新作なので、前作とプレイヤーやゲームを取り巻く環境も変わっているかと思います。そのような状況の開発で難しく感じた点があれば教えてください。
山村氏:やはり現代風に「アーマード・コア」を作ること。直感的な操作感を意識しました。「操作が難しいからこそのアーマード・コア」であることは把握しているんですが、おもしろさが伝わる前にやめられてしまうのは避けたいと思っていたので、そのバランスを取るのが難しかったですね。
――アップデートを重ねて調整されているところですが、最終的に目指すプレイフィールはあるのでしょうか。
山村氏:なるべくすべてのパーツに光が当たるように意識しています。理想はユーザーの皆さん一人ひとりの構成が違うこと。そんな多様性のある状況を目指していきたいと思っています。
――シリーズのファンと新規プレイヤーそれぞれに刺さったと感じているポイントを教えてください。
山村氏:ファンの皆さんには、「アーマード・コア」の基本の味は変えないまま、おもしろさをうまく現代風にアップデートできたところ、新規の皆さんには、近年培ったアクションのノウハウとシリーズの三次元立体戦闘のシナジーが新しい刺激として、評価していただけたのではないかと思っています。
――フロム・ソフトウェア代表取締役社長の宮崎英高氏は、どのように作品に関わったのでしょうか。
山村氏:宮崎は「イニシャルディレクター」として、基本的な世界観やストーリーの骨子の作成で関わっています。そこから我々が肉付けしていきました。完成後には「魅力的なものにしてくれてうれしかった」と言ってもらいました。
――おもしろいと感じたプレイヤーの遊び方はありますか?
山村氏:完全な手動エイムでプレイしてくださっている方がいて、“熟練傭兵のすごみと意地”を感じました。そもそも、マニュアルエイムはほとんどのユーザーが使いこなせないだろうと、実装にも議論があったんですけど、実装してよかったです。
小倉氏:ユーザーの皆さんは我々の想像を超える遊び方をされて、驚かされます。武器を使わずにパンチやキックだけで倒すのを見るのもうれしいですね。
●フリープレイになって「速度」が上がった「eFootball」
○『eFootball 2023』(コナミデジタルエンタテインメント)
【登壇者】
シニアディレクター 中西宏氏
シニアディレクター 木村征太郎氏
――受賞について、ひとことお願いします。
中西氏:「eFootball」は、2021年に「ウイニングイレブン」から名前を変えて、完全なフリープレイタイトルに形態を変えて生まれました。そのような大きなチャレンジをしたあとに、このような賞をいただけてうれしく思っています。
木村氏:リブランディングしたタイミングの去年は残念ながら受賞できず悔しい思いをしたので、今年受賞できてうれしく思っています。遊んでいただいたプレイヤーの皆さんのおかげと思います。
――基本プレイ無料タイトルながら継続して高収益を出している秘訣を教えてください。
中西氏:「売り切り」だったときは、サッカーのシーズンに合わせて制作していましたが、その制限がなくなり、今では年に2~3回の大きなアップデートをしています。その制作の回転の速度は上がっている実感がありますね。また、これまで以上にお客さまの声に耳を傾けるようになりました。それを次のアップデートに間に合わせるよう動くこともありますね。
――先日、「eFootball」シリーズが「AFC eアジアカップ 2023」の競技タイトルに選出されました。どのような大会になることを期待しているか教えてください。
木村氏:日本だけでなくアジアでも「eFootball」が浸透した結果だとうれしく思っています。アジア全域のお客さまとサッカーファンがアツくつながって盛り上がっていただければと思います。
――日本ユーザーの反響について教えてください。
中西氏:今月のアップデートについて、たくさんの反響をいただきました。ユーザーの声によって実装を決めた仕様もありますので、「共に作っている」感覚があります。
●数値の調整だけでないアップデートを意識した『Wo Long』
○『Wo Long: Fallen Dynasty』(コーエーテクモゲームス)
【登壇者】
プロデューサー兼ディレクター 平山正和氏
――受賞について、ひとことお願いします。
平山氏:たいへんうれしく思っています。また、12月12日にはダウンロードコンテンツ第3弾がリリースされます。より皆さまに楽しんでいただけるようチーム一同がんばっていきます。
――三国志全体の歴史を考えると、“ストーリーはまだまだこれから”という地点だと思います。次回作や今後の展望があれば教えてください。
平山氏:現状はDLCに全力投球しているので、続編などについての情報をお伝えすることはできませんが、『Wo Long』と違う魅力ある人物が登場する時代が始まるので、作るチャンスがあれば、検討したいと思います。
――戦闘システムの手ごたえを教えてください。
平山氏:開発当初からスピーディに攻防が入れ替わる中華アクションには力を入れました。そこについては、ある程度実現できたと感じていますが、自分自身やりたいことはまだあるので、チャンスがあれば戦闘システムは引き続き磨いていきたいと思います。さばき方1つ見ても多種多様ですし、バリエーションや深みを出していければと。
――「仁王」シリーズとは異なる立ち位置にあるタイトルですが、反響の多い国や地域など特徴があれば教えてください。
平山氏:三国志が題材なので、中国を中心としたアジア圏からの反響がありました。欧州のユーザーには、三国志というテーマよりもアクションへの興味から手に取ってもらった傾向があります。
――プレイしたユーザーの声はどのようなものが多いでしょうか?
平山氏:リリース後に印象的だったのが、「簡単」と「難しい」の意見が分かれたことです。「仁王」シリーズと比較して、アクションで乗り越える比率が多いタイトルなので、それが要因かと思っています。ですが、幅広い方に楽しんでいただきたいので、アップデートでは「数値だけを調整する」のではなく、「アクションを変える」「AIを調整する」「プレイヤーアクションの改善」などを意識してきました。
●『ELDEN RING』DLCの進捗は「順調」
○『ELDEN RING』(フロム・ソフトウェア)
【登壇者】
プロデューサー 北尾泰大氏
――受賞について、ひとことお願いします。
北尾氏:2022年2月に発売されて、昨年このアワードで「GRAND AWARD」をいただきました。それが一過性のものではなく、今年も賞をいただけたのは、ユーザーの皆さまが話題にしてくださった結果だと思っています。ありがとうございます。
――DLCに期待するユーザーも多いと思います。開発の進捗やどのような体験ができるよう進めているのかなど、可能な範囲で教えてください。
北尾氏:DLCについては、また別の機会にお伝えいたします。それはまだ少し先になります。ですが、開発は順調で、みんなモチベーション高く作業を進めてます。「ダークソウル」シリーズや『Bloodborne』と同じ形式のDLCですが、新たな舞台で、新たな脅威が待っています。ぜひご期待ください。
――人気が持続している部分について、作品のどのような点がユーザーに受け入れられたのかと分析していますか?
北尾氏:開発のテーマでもあった「攻略の自由度の高さ」が挙げられると思います。ユーザーごとに体験や遊び方が異なることから、長く遊んでいただけているものになりましたし、さまざまな話題が生まれたのだと考えます。
●物語は何年経っても色あせない『クライシスコア リユニオン』
○『クライシス コア –ファイナルファンタジーVII– リユニオン』(スクウェア・エニックス)
【登壇者】
プロデューサー 佐藤万里子氏
――受賞について、ひとことお願いします。
佐藤氏:すばらしい賞をいただきまして、まことにありがとうございます。応援してくださった方や開発メンバーの努力の結果だと思っています。来年には『FF7リバース』の発売を予定していますので『クライシスコア』も併せて楽しんでいただければと思います。
――オリジナル版は「PSP」で発売されました。海外では携帯ゲーム機が日本ほど普及していなかった事情から、本作が初プレイの海外ファンも多かったのではないでしょうか。反響について教えてください。
佐藤氏:海外ファンからも多くのご好評の声をいただきました。今作初プレイの方も多く、ストーリーは知っていたけれど、実際にプレイできて体験できてよかったと言ったいただけたので、『リユニオン』を発売してよかったと思います。
――これから『リユニオン』をプレイする人に、「ここに注目すれば来年発売の『FF7リバース』がより楽しめる」ようなポイントはありますか?
佐藤氏:「クライシスコア」は、『FF7』の過去譚ですので、重要な登場キャラクターにどんな過去があったのか描かれています。『リユニオン』をクリアしてから『FF7リバース』をプレイすると、「こういうことだったのか」と思える部分があります。
――特に印象的だったユーザーの意見があれば教えてください。
佐藤氏:個人的に印象に残っているのは、「ストーリーは知っているけど泣けた」という方がすごく多かったことです。オリジナル版が発売されてから15年以上の年月が経過しても、ストーリーは色あせずに、人を感動させることができるんだと実感できました。きっと、この先10年20年経っても、変わらずに感動させられるんだと思います。
――過去の人気タイトルを現代によみがえらせるうえで大切にしたことを教えてください。
佐藤氏:ストーリーはもちろん大事にしましたが、『FF7リメイク』をプレイした方に手に取っていただいたときに違和感がないようこだわりました。
●プレイヤーの裾野を広げた『スト6』は「全人類に遊んでほしい」
○『ストリートファイター6』(カプコン)
【登壇者】
プロデューサー 松本脩平氏
――受賞について、ひとことお願いします。
松本氏:めちゃめちゃうれしいです。長い歴史があるシリーズなんですけど、新しい「ストリートファイター」を作ろうと、今回はかなりチャレンジングな試みをしました。それがお客さまに伝わって、広まって、結果として賞をいただけたとあって、皆さまにも開発チームにも感謝しています。ありがとうございます。
――「ワールドツアー」についてユーザーからのフィードバックや、シリーズとして今後も実装していく予定があるか教えてください。
松本氏:今まで遊んできてくれた人にも全力を尽くしたいし、これから新しくプレイする人にも尽くしたいと考えて実装した1つが「ワールドツアー」。既存プレイヤーにとっては、キャラクターのストーリーを改めて理解してもらえますし、新規プレイヤーには、大きなチュートリアルとして「格闘ゲームのいろは」を学べるようになっています。このモードが終わるころには、リュウの好物を知れたり、波動拳を出せたりできるよう狙っていました。それを体験いただけて、「作品のおもしろさをわかりやすく実感できた」「キャラのことをもっと好きになった」といったご意見もいただけました。
今後については、新規プレイヤーの動向を分析して、どのようにアプローチしていけばいいかを、これから考えていきます。
――アクセシビリティや「モダン」操作などで格闘ゲームプレイヤーの裾野を広げたタイトルだと思います。制作サイドではどのような感触がありますか?
松本氏:アクセシビリティについては、前作『ストリートファイターV(ストV)』からチャレンジしていました。それに対してブラインドの方からもご意見をいただいていたのですが、もう『ストV』はアップデートできない時期だったので、今作『ストリートファイター6(スト6)』でしっかり改善していこうと決めていました。
また、『スト6』は全人類に遊んでもらいたいと考えています。たとえば、前作では老人ホームで大会をする事例もあり、ボタン押すだけで楽しめて、そこからコミュニケーションが生まれる光景を目にしてきました。なので、やれることは全部やろうと、アクセシビリティだけでなく、操作システムの「クラシック」「モダン」「ダイナミック」も取り入れました。それが結果につながっているのはうれしいですね。まだまだ改良できることはしたいです。
「アクセシビリティがあるからプレイしました」という声には、感動していますし、感謝していますし、やってよかったなと思っています。
――コアな格闘ゲーマーだけでなく、初心者のストリーマー中心に配信やユーザー主催イベントが広がっているのが印象的なのですが、これは開発中から想定されていたのでしょうか。また、印象に残っているコミュニティイベントがあれば教えてください。
松本氏:前作のアーケードエディションが登場したあたりから、ストリーマーさん、バーチャルYouTuber(VTuber)さんにプレイしてもらいたいと思っていました。『スト6』は2018年から開発しているんですが、バーチャルライバーの「にじさんじ」さんが前作のイベントを開催されていたのを見て、絶対取り込みたいと思ったんです。ただ、『ストV』だと、その配信を見て「やってみたい」と思っても、操作が難しいなどの理由で離脱しやすいんですよね。
『スト6』では、モダン操作をはじめ、何が起こっているかわかるような仕組みの実装も決まっており、動画配信サイトのサムネイルを『スト6』ばかりにしたいと狙って動いていました。いま、ストリーマーさんのプレイを見て入ってきた人が、モダンがあるから配信イベントが終わったあとも継続して遊んでくれていて、そこがズバッとハマったので、「ヨシ!」と思っています。
イベントは、たとえば「CRカップ」なんかすごいインパクトですよね。もともとFPSなどのシューティングゲームをプレイしていた層に遊んでもらえて、イベントを開催してもらえて、それを見た人からプレイしたくなったという反響もいただいています。
おもしろいのが、「マリーザ」「マノン」など、『スト6』から登場した新キャラの名前を知っている人がめちゃめちゃ増えたこと。ストリーマーさんが使っているからなんですが、今後の「ストリートファイター」のブランドを考えたうえでもすごいアドバンテージになっていると思います。これからも続けていきたいですね。
●「ドミトレスク夫人」のスケール感を間近で味わえる『バイオ ヴィレッジ VR』
○『バイオハザード ヴィレッジ VRモード』(カプコン)
【登壇者】
プロデューサー 神田剛氏
――受賞について、ひとことお願いします。
神田氏:『バイオハザード ヴィレッジ』としては、3回目のアワード受賞で、長い間多くの方に遊んでいただけていることに感謝しています。ありがとうございます。
――「PS VR2」用として「Sense コントローラー」に特化した開発をするうえでこだわった点、苦労した点をお聞かせください。
神田氏:「Sense コントローラー」に対応するのが苦労しました。一方で、開発過程で、ゲームプレイがコントローラーにハマっていくと感じられたことには充実感を覚えました。
銃アクションの細かいところにこだわりすぎると「サバイバルホラー」色が薄れてしまうので、イーサンのカッコいいアクションを感じられるようなバランスにはこだわりました。
――今後のシリーズでもVRモードを実装していく予定はあるのでしょうか。
神田氏:ホラーとVRの相性はいいので、可能な限り開発はしていきたいと考えています。
――「PS VR2」のポテンシャルについて、作り手側から気づいたことがあれば教えてください。
神田氏:解像度や描画の部分でポテンシャルは高いと感じました。平面では感じられない距離感を体験できます。たとえば、高身長の「ドミトレスク夫人」のスケール感を間近で味わえる迫力があります。
また「sense コントローラー」がマッチすれば、ゲームプレイ体験として価値の高いものを作り出せるのではないかと思っています。