旬のトピック、最新ニュースのマピオンニュース。地図の確認も。

先端素材のリーダー「ファインセラミックス」は金属や樹脂をいかに凌ぐか

2023年12月01日07時00分 / 提供:マイナビニュース


はじめに

情報化時代の技術は、これまでにない非常に速いペースで進歩しています。原材料の生産から最終製品まで、産業用および民生用の各種技術や装置に対する要求も、同様に急速に高度化しています。このため、設計エンジニアは、高強度、耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性等が求められるシステムの性能を向上させる手段を常に模索しています。金属や樹脂は、大きく進歩していますが、これらの材料の多くは、消費者、OEM、および、ほぼすべてのセグメントのサプライチェーンから達成が難しいレベルの性能を求められています。

そこで、ファインセラミックスの登場です。

セラミックスは、金属や樹脂が使用できない極端な高温や腐食環境に耐えることができ、非常に硬く長寿命です。また、セラミックスの多くは、金属や樹脂とは異なり、電気絶縁性と熱伝導性の両方を同時に実現できるため、エレクトロニクス基板として、優れた性能を発揮します。セラミックスは、金属と同等の強度を持っており、機械的要求の厳しい用途においては、金属を上回る性能を発揮するように設計することも可能です。

「我々は、日々ファインセラミックスに関わっています。」

セラミックスは、非金属の無機固体と定義されています。ガラス、セメント、陶磁器なども、このカテゴリに分類されていますが、ファインセラミックスは、これらの中でも独自のカテゴリに分類されます。クアーズテックなどの専門メーカーが、過去、1世紀にわたって開発してきた、この高度に設計された材料には、酸化物、炭化物、ケイ酸塩、窒化物などの化合物や、透光性/透明セラミックス、セラミック膜などの特殊なセラミック材料が含まれます。

セラミックス材料は、用途に合わせて固有の要求を満たすように最適化することができます。ただし、ファインセラミックスを「先端素材のリーダー」と呼ぶのにふさわしいものにする特別な単独の特性はありません。それらを際立たせるのは、多様な用途と材料の組み合わせにおける複数の特性の組み合わせです。

また、重要なのは、基本的な材料特性だけではなく、製造可能かどうかも重要な鍵となります。特定の用途のニーズを満たすためのセラミックスの成形、焼成、仕上げの工法は数多くあります。セラミックス製造技術は進歩しており、非常に厳しい公差を持つ微細成形部品から計測機器用の超大型部品まで、様々なソリューションを実現できるようになっています。

誰もが知らないうちに日常的にファインセラミックスと関わっています。これらの高性能材料は、文字通り現代の多くの利便性を実現するための重要な要素になっています。先進的なセラミック材料は、自動車部品、歯科用ドリル、戦場で兵士を守るアーマー(装甲板)などに使われています。
クアーズテックが目指す先進セラミック材料

1世紀以上にわたり、クアーズテックは、先進セラミック材料開発の最前線に立ってきました。現在、クアーズテックは、米国・欧州・アジアに30ヶ所を超える拠点を有する多国籍企業へと成長しました。400種類を超える先進セラミック材料を配合し、比類のないセラミックスの専門知識、革新的な製品の研究開発に対する貢献とコミットメントを通して、顧客とパートナーシップを構築し、その素晴らしさをもっと実感できる世界の実現を目指してきました。

以下にファインセラミックスが機械的、熱的、化学的、電気的特性において、どの様に金属や樹脂を凌ぐ性能を発揮するかを説明します。

○>400

クアーズテックとして取り扱っている、ファインセラミックスの配合数は、少なくとも400種類以上あります
○61/118元素

少なくともクアーズテックでは、地球上に存在する、既知の元素の半分以上の元素を利用し、製品にしています。

○30+

クアーズテックでは30ヶ所以上の製造拠点を世界中に有しています。

1910年以来、様々な業界リーダーはクアーズテックに対し、世界でも困難な技術、ならびに製造における課題の解決策を求めてきました。クアーズテックではセラミック材料技術の専門知識、幅広い研究開発能力、オペレーショナルエクセレンス、信頼できる協力関係を構築するコミットメントを通して、これらの課題に対処してきました。

クアーズテックは、特に誠実さという基礎の上に成功を構築してきました。今後も、重要な機能の用途に対応する先進セラミック材料と、プロセスの開発に引き続き、多くの資源を継続的に投資していく計画です。高度な技能を持つ従業員は、優れた品質の製品やサービスを確実に、一貫して提供できるようにするため、常に努力を重ねています。

セラミックスの代表的な特徴を知る
○高温耐久性

多くの用途では、高温で信頼できる高性能特性が要求されます。1000℃では、ほとんどの金属が、自重すら支えることができず、高温酸化反応により、恒久的に脆弱化してしまいます。一方、先進セラミック材料は、室温での強度、剛性、耐環境性の大部分を保持することができ、周囲温度に戻すと、基本的に元の特性と寸法に戻ります。ファインセラミックスの熱的特性の詳細については、別の項でより詳しく説明します。
○水分吸収とガス透過性

ファインセラミックスは、一般に測定可能な吸水性やガス透過性のない、密閉性のある性能を提供します。現在では流体の精密濾過や限外濾過、プロトン伝導性セラミック材料による電気化学的変換、人工骨、3D組織培養増殖などのソリューションを可能にする、制御されたレベルの気孔率または透過性を提供するアプリケーション固有の材料を設計することも可能になっています。
○色調

クアーズテックでは、選択されるファインセラミックスの素材の種類に応じて、さまざまな色で提供することを可能としており、その用途に最適な色に設計することも可能としました。
○結晶粒径

結晶粒径は、性能の決め手となる直接的な尺度ではありませんが、材料特性は結晶粒径によって異なることがあります。一般に、セラミック材料の微細構造の結晶粒径が小さくなるにつれて、強度が増加します。さらに、より細かい結晶粒径により、より細かい表面仕上げが可能になる場合があるため、トライボロジーまたは光学的な用途における性能が向上します。クアーズテックでも、原材料と製造工程の両方を設計することで、結晶粒径とそれにより得られる結果としての特性を制御することが可能です。多くの場合、期待される硬度と相関させるために、同じ材料であっても結晶粒径を区別して指定します。

このグラフは、各材料について結晶粒径の範囲を表しています。



機械的特性

クアーズテックが手掛けるファインセラミックスのよく知られている優れた性質に機械的特性があります。先進セラミック材料は、金属と樹脂を上回る性能を提供するように設計されています。それらの高性能な機械的特性には、硬度、耐摩耗性、剛性、密度、破壊靭性、その他の各種用途特有の機械的要件が含まれており、多くの場合、鋼鉄、合金、樹脂のそれを超えています。

中でもクアーズテックのファインセラミックスには極めて高い硬度のものがあることが知られています。取り扱っている材料には、ダイヤモンドを除く、既知のあらゆる金属や天然材料よりも硬いものがあります。これが機械的消耗や磨耗に優れる理由です。セラミック部品の摩耗寿命が、従来の金属よりも10~100倍長くなることは珍しくありません。

材料が硬ければ硬いほど、圧痕や摩耗による局所的な永久変形に対する耐性が高くなります。私たちが目にする表面では、「マクロ」硬度が観察されますが、それは、通常「ミクロ」レベルでの強い分子間結合に関連するものです。硬度は、微小圧痕に対する抵抗を定量化することで測定されます。セラミックスなどの硬い材料の場合、材料を比較するために、ヌープ硬度、ビッカース硬度、ロックウェル硬度といったような、硬さの単位が一般的に使用されます。

先進セラミック材料は、剛性が高く、曲がりにくい性質を持っています。これは、安定した寸法性能を持っていることを意味します。実際に、クアーズテックのセラミックスは、要求の厳しい軽量用途で使用できる高い比剛性(弾性率/密度)を実現しています。金属は、機械加工や熱サイクル中に反ったり、クリープしたり、変形したりすることがしばしばあります。樹脂は、高温・高圧が持続する条件において(内部に生じた応力やひずみを緩和するため)流動的な振る舞いをする傾向にあります。

材料の剛性とは、弾性変形(非永久的変形)に対する耐性の尺度となるものです。より剛性の高い素材は、ヤング率が高くなります。剛性のもう1つの尺度は、せん断弾性率、つまり、せん断における形状変化のしにくさです。

金属や樹脂とは異なり、セラミックスは、完全な弾性を持ち、塑性変形を生じません。そのため、高負荷条件下でもたわみが少なく、負荷が解除されると元の形状に戻ります。

セラミックスは、硬くて柔軟性がないため、破損するまで完全に弾性的に振る舞います。そのため、金属や樹脂の場合は、引張試験により強度を評価する必要があるのに対し、セラミックスの強度は、曲げ試験により、簡単に評価をすることができます。曲げ試験における金属および樹脂材料の降伏は、応力の再分布をもたらすため、試験結果が複雑になります。曲げ試験は、引張試験よりも大幅に経済的であるため、セラミック材料の強度特性評価には曲げ試験がよく使用されます。

曲げ試験では、一方の面には張力がかかり、反対側は圧縮されます。モノリシックなセラミックスの場合、引張よりも圧縮の方が実質的に強いため、破損は、常にセラミックスの引張面から始まります。

セラミックスに対して引張試験が行われることはほとんどありませんが、引張強度は、曲げ試験の結果から推定できるものであり、曲げ試験でより強い材料は、一般に、引張試験でもより強いものです。

圧縮強度は、材料の圧縮に耐える能力の尺度であり、構造設計の重要な指標です。ファインセラミックスは、圧縮強度に優れているため、組立部品の設計においては、セラミック部品が圧縮されるように用いることが望まれます。

クアーズテックのファインセラミックスは、高強度金属よりも軽く、その重さは、通常、同じ体積の金属部品の50パーセントほどです。航空宇宙、自動車、機械、および、アーマー(装甲)など多くの用途において、質量の低減が恩恵をもたらします。車両の軽量化は、性能を向上させ、効率を向上し、車両の寿命全体にわたりエネルギーコストが削減されます。回転機や工作機の慣性を低減すると、遠心力が低減されるため、高速化と長寿命化が可能になります。セラミック材料の軽量性と優れた硬度を組み合わせた先進セラミックスは、ボディーアーマー(防弾ベスト)や車両アーマー(装甲板)の軽量化を可能にし市民を守る人々の命を守ることも可能にします。

先進セラミック材料の中には、破壊靭性、つまり、破壊に抵抗する材料の能力を強化するように設計されているものがあります。破壊靭性は、材料が破壊する前に吸収できるエネルギーの量を測定するものです。弾性(可逆的)変形と塑性(不可逆的)変形の両方により、材料が大量のエネルギーを吸収できるため、樹脂やほとんどの金属などの延性材料の破壊靭性は大きくなる傾向があります。

セラミックスは、不当に脆い材料として一括りに考えられることがあります。私たちは、日常的に「脆さ」を簡単に壊れるものと考えています。しかし、これは、実際には、脆さと強度の不足の両方を組み合わせたものです。

ファインセラミックスには、脆いものも強いものもあります。クアーズテックでは、過酷な機械的使用環境における破壊靭性を向上させるために、ジルコニア、窒化ケイ素、セラミックスマトリックス複合材料(CMC)などの高度な先進セラミックスを開発しています。
先進セラミック材料:機械的特性
○アルミナ | 耐摩耗性

アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)は、良好な硬度、耐摩耗性、曲げ強度などの、機械的特性の多彩な組み合わせで知られています。クアーズテックのアルミナは、さまざまな産業用途において優れた耐用年数とコストパフォーマンスが実証されており、幅広い純度レベルと配合で入手可能です。一般に、純度が高くなるほど、化学的および電気的性能がより堅牢になります。
○炭化ケイ素 | 硬度

炭化ケイ素(SiC)は、低密度で優れた硬度と剛性がある、強力な機械的特性を備えており、軽量と機械的強度の組み合わせが必要な用途において、価値のあるものです。クアーズテックの炭化ケイ素の中には、重量に対する剛性の比(比剛性)が高く、寸法安定性が重要な用途に使用できるものもあります。
○窒化ケイ素 | 曲げ強度

窒化ケイ素(Si3N4)の特徴は、高い強度と靭性と、優れた熱特性の組み合わせであり、過酷な熱機械動作環境において、優れた性能を提供します。窒化ケイ素は、転がり接触疲労に対する優れた耐性も備えているため、他の材料特性の利点とともに、ベアリング用途の材料として、最適な選択となっています。
○ジルコニア | 曲げ強度と破壊靭性

ジルコニア(酸化ジルコニウム、ZrO2)は、優れた強度と破壊靭性を備えた耐久性のあるセラミックスです。クアーズテックのジルコニアも優れた機械的耐久性と耐衝撃性を示します。



電気的特性

先進セラミック材料は、樹脂や金属といったような他の材料と比べて、優れた誘電特性を示します。先進セラミックスは、その組成により、非常に効果的な電気絶縁体となるため、これが最も一般的に使用されている用途ですが、セラミックスは、用途に応じた専用の製造プロセスによって、導電率を付与することもできます。

先進セラミック材料のほとんどは、誘電損失が低いため、高レベルの電磁エネルギーを維持することが可能であり、エネルギーの散逸があったとしても、測定可能な量は非常に小さいものとなります。樹脂、ゴム、ガラスは、優れた電気絶縁体ですが、ファインセラミックスと同等の機械的、熱的、化学的特性を持たないため、セラミックスは、高強度、高耐熱性、高腐食性を求められる環境における電気的特性が必要な用途に最適です。

体積抵抗率は、材料が特定(DC)電界における電気抵抗を示す尺度です。体積抵抗率が高い材料は、電気絶縁体であり、体積抵抗率が低いか、全くない材料は、導電体となります。逆数の関係にある測定値は、電気伝導率であり、材料が電流を妨げる能力ではなく、電流を流す能力を示す測定値です。

抵抗率は、材料の温度に依存します。

先進セラミック材料は、高温でも体積抵抗率が高くなる傾向がありますが、セラミック材料の中には、ある程度の電荷を通過させるように、意図的に設計されているものもあり(通常は、静電気対策セラミックスまたはESD対策セラミックスと呼ばれます)、これらは、材料の寿命を延ばしたり、接触している電気的に脆弱な物体を保護したりするものです。

材料が耐えられる電圧にも限界があります。これは、材料の絶縁耐力として、定量化および測定されます。絶縁耐力は、誘電体(絶縁体)が、絶縁特性を失うことなく耐えることができる最大電圧です。これは、破壊電圧をサンプルの厚さで割ったものと定義されています。絶縁耐力は、サンプルの厚さに大きく依存するものです。そのため、絶縁耐力とともに、厚さも常に提示する必要があります。

先進セラミック材料は、高い絶縁耐力を備えていることが多いため、誘電特性は、セラミックスが電気用途で優れた絶縁材料となる理由の1つとなっています。

比誘電率とは、材料の誘電率(電荷を蓄積する能力)と自由空間の誘電率の比であり、同じ寸法の真空空間内の電荷蓄積と比較した場合の、印加電圧によって、物質に蓄積される電荷量です。セラミック材料の誘電率は、種類によって大きく異なりますが、多くの配合では、低い値が得られます。誘電率が低いことは、半導体製造や無線周波数(RF)送信機用途での使用に有利である場合があります。

誘電正接とは、誘電(絶縁)材料における電磁エネルギーの散逸を本質的に定量化するものです。

この散逸したエネルギー、つまり損失は、発熱に繋がります。ファインセラミックスは一般に、損失が少ないため、発電およびユーティリティ用途での使用に最適な材料です。

クアーズテックでも、低損失または厳密な制御を必要とする用途向けに、特別グレードの低損失材料を用意しています。

先進セラミック材料:高い電気的特性
○アルミナ | 低い誘電損失

アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)は、優れた誘電挙動を含む、幅広い特性を備えている、一般的に使用されるファインセラミックスです。クアーズテックでは、特定の配合をすることで、低い誘電損失やその他の用途固有の要件に合わせて設計することを可能としています。
○窒化アルミニウム | 高い熱伝導率を備えた絶縁耐力

窒化アルミニウム(AlN)は、高い絶縁耐力と熱伝導率の独特な組み合わせにより、電子基板や熱問題を伴うその他の電気用途で熱を迅速に放散する優れた能力を備えているため、多くの電子用途で使用されています。
○ケイ酸塩 | 電気絶縁性

ケイ酸塩は、電気絶縁性と不活性が求められる用途でよく使用されており、化学実験器具などの用途ではコスト効率の優れたオプションです。

ステアタイトは、その低い誘電損失と高い絶縁耐力の組み合わせを提供するとともに、安価に製造可能です。
ムライトは、優れた絶縁耐力と熱衝撃特性があります。

○炭化ケイ素 | 制御された体積抵抗率

クアーズテックでは、炭化ケイ素(SiC)の製造プロセスを特定の可変体積抵抗率に合わせて精密に調整しています。たとえば、PureSiC炭化ケイ素は、幅広い用途固有の要件に適合するように、高、中、低の抵抗率を備えたいくつかのバリエーションで提供されています。
○特殊用途セラミックス

クアーズテックの材料ポートフォリオには、特定の用途の独特な要件に適合するように設計された、さまざまな特殊セラミックスが用意されています。これらの特殊材料のいくつかは、優れた誘電挙動を示します。

チタン酸塩配合物は、アンテナの誘電体共振器に使用するために、特別に設計されているものです。
静電対策セラミックスは、蓄積された電荷をゆっくりと消散させて、急速な放電やアーク放電を防止することで、デリケートなマイクロエレクトロニクス部品を、静電気から保護できるように設計されています。
カーボンとグラファイトは、ここで説明した他の多くのセラミック材料とは異なり、優れた導電体です。



化学的特性

セラミックスは、化学的に不活性であるため、他の材料では劣化する用途にも使用することができます。クアーズテックでも、顧客固有の耐食性要求を満たすことを目的としたセラミックスの配合とプロセスの調整を行っています。ファインセラミックスは、鉄鋼材料や樹脂と比べて、優れた耐食性を備えています。さらに、セラミックスは、硬度や耐摩耗性でも、これらの材料に勝るため、腐食性の高い環境でのさまざまな用途に最適です。

アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)および炭化ケイ素(SiC)セラミックスは、ほぼすべての化学物質に対して耐性があり、他の材料が損傷するような用途に使用されます。セラミックスは、金属のように腐食のために破壊することが稀であり、酸や塩基にも強い抵抗力があります。しかし、特定の厳しい耐食性用要求に対して、他のセラミックスより優れたパフォーマンスを示すセラミックスもあります。
○純度

セラミックスの純度は、プラズマエッチング(半導体製造プロセス)や、医療および食品加工用途などの、腐食性が極度に強い環境において重要なものです。耐食性を高めるためのセラミック配合物は、ほぼ完璧な仕上がりになるように設計された粒子構造を持ち、化学的に不活性な特性を最大限に高め、強度もガラスよりも、最大4倍に高めることが可能です。化学蒸着(CVD)を使用することで、99.99955%を超える純度の超高純度セラミックスを製造することができます。
○生体適合性

生体適合性は、生物学的/化学的特性として、特定用途における材料の性能を測定し、体組織や食品材料といったような、様々な生物学的な対象と組み合わせた場合の、利点または望ましくない影響を特定します。高純度セラミックスは、一般に、生体不活性であるため、高強度セラミック寛骨臼ライナーや大腿骨頭(股関節コンポーネント)などの埋め込み型デバイスと、非埋め込み型デバイスの両方、および、医療用流体モニタリングシステムのセラミック構成部品などの医療用途に最適です。
○耐腐食性

セラミックスは、化学的分解に耐えることができるため、酸や塩基に対する耐薬品性に関しては、性能が長期的に持続される理想的な素材です。耐腐食性は、金属や樹脂などの化学的に可溶な他の材料に対して、セラミックスを試験することによって測定されます。
先進セラミックス材料:耐薬品性
○アルミナ | 耐摩耗性および耐薬品性

アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)は、一般に、有用な特性、優れた価格性能比、そして、ほとんどの産業用途への適合性のため、最も一般的に使用されているファインセラミックスです。通常、純度の高いアルミナでは、耐食性と耐摩耗性が向上します。
○ケイ酸塩 | 耐薬品性

ケイ酸塩セラミックスは、天然ケイ酸塩源から開発された多相材料であり、化学実験器具などの技術用途で高いコスト効率性を提供します。磁器はクアーズテックがファインセラミックスとして最も長く供給し続けている製品であり、そうして生み出された化学および科学実験器具は業界標準となっています。中でも釉薬をかけた後の磁器実験器具は腐食に強く、優れた熱特性を示します。
○炭化ケイ素 | 耐食性と優れた熱的特性

炭化ケイ素(SiC)は、高温でも、特徴的な高い耐食性、硬度、耐摩耗性、強度を示します。
○ジルコニア | 耐食性と優れた機械的耐久性

ジルコニア(酸化ジルコニウム、ZrO2)は、優れた強度と破壊靭性を備えた耐久性のあるセラミックスです。



熱的特性

ファインセラミックスは、極端な温度で使用される用途において、金属や樹脂よりも優れた性能を発揮します。極度の高温または低温条件の用途には、膨張、収縮、溶融、亀裂などによって損傷することなく、性能を発揮できる材料が必要です。セラミックスは、高温強度、熱的安定性、耐熱性が操業や安全上の鍵となる幅広い用途に対応しています。

熱的特性は、材料がさまざまな温度範囲でどのように機能し、温度の変化に対してどのように反応するかといった特徴を示すものです。クアーズテックのファインセラミックスの多くは、材料特性と構造を制御することにより、高温および低温における精密用途においても最適な熱的特性を持っています。ファインセラミックスの多くは、動作温度範囲、熱伝導率、熱膨張係数、耐熱衝撃性が重要な各種用途の熱的特性の要求に適合するように調整することが可能です。

先進セラミック材料の主な利点の1つは、極端な温度においても特性を維持できることです。多くの先進セラミック材料は、高度に設計された樹脂や金属をはるかに超える温度に耐えることができ、最大2400℃まで安定した性能を発揮します。これに対して、最高仕様の耐熱樹脂の最大動作温度は約250℃、一部の金属合金では、最大1000℃です。他の機械的、電気的、化学的特性と組み合わせることで、セラミックスは高温/低温での使用が必要不可欠な用途における、理想的な選択肢となります。

熱伝導率は、材料内部で熱がどれだけ良く拡散するかを示す特性値です。調理鍋は熱伝導率が高く、熱が均一に分散されて、食品に素早く伝わります。一方で、断熱手袋は、熱伝導率が低いため、熱いものを扱う場合に、手に熱が伝わらないようにするために使用されます。ファインセラミックスは多様性があり、広範囲の熱伝導率を示します。

熱膨張係数は、温度によって、材料が、どの程度膨張または収縮するかを示す特性値です。ほとんどの材料は、熱を加えると膨張しますが、これは、エネルギーによって原子がより速く移動するようになり、その結合が引き伸ばされるからです。セラミックスの場合、一般的に、原子間結合が強いため、熱膨張係数は小さく、広い温度範囲にわたって安定しています。

比熱は、材料の温度を上げるのに必要な熱量を示す特性値です。ファインセラミックスは、種類によって幅広い比熱を持ちますが、一般に、金属よりも比熱が高いため、温度の制御が重要な用途に役立ちます。

耐熱衝撃性は、急激な温度変化に耐える能力を示す特性値です。製品を急速に冷却すると、中心部は高温のままで、表面の温度が低下するため、不均一な熱収縮を生じます。耐熱衝撃性が低い材料は、温度変化によって亀裂が発生しやすくなります。

CoorsTek GLASSUNなどの耐火材料は、低い熱膨張係数と組み合わせた、耐歪み性の微細構造を備えているため、優れた熱衝撃特性を備えています。

構造用のセラミックスでは、材料強度と熱応力を分散する能力を組み合わせた、優れた熱衝撃特性も示す場合があります。熱伝導率がより高く、熱膨張がより低く、そして、弾性率がより低い場合、熱応力が低くなります。


先進セラミック材料:優れた熱的特性
○アルミナ | 良好な一般使用特性を備えた熱抵抗

アルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)は、優れた総合性能を備えた、最も一般的に使用されているファインセラミックスです。クアーズテックでも1500℃以上の耐熱性を備え、様々な用途で使用できるアルミナを100種類以上設計した実績があります。また、ジルコニア強化アルミナは、高い耐熱衝撃性と破壊靭性の増加を実現するために設計された特殊なアルミナです。
○窒化アルミニウム | 高熱伝導率

窒化アルミニウム(AlN)は、高い熱伝導性と強力な電気抵抗の組み合わせを提供します。これらは、多くの電子用途において、優れたソリューションとなるものであり、電気システムの熱を、迅速に放散して効率を最大化します。
○石英ガラス | 耐熱衝撃性と低熱膨張性

合成石英ガラスや溶融シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)などの石英ガラスは、低い熱膨張と高い純度により、優れた耐熱衝撃性を示します。こうした独特な特性と熱安定性により、このファインセラミックスは、急速熱処理用途に使用することができます。
○ケイ酸塩 | 耐熱衝撃性

ケイ酸塩セラミックスは、粘土、カオリン、長石、ソープストーンなどの天然ケイ酸塩源から開発された多相材料です。現在のケイ酸塩は、電気絶縁体や鋳造フィルターといったような技術用途に役立つものとなっています。

ステアタイトは、高い熱性能が要求される製造プロセスで使用されます。
コーディエライトは、優れた熱衝撃特性と低い熱膨張率を兼ね備えており、絶縁体として優れた材料です。
ムライトは、耐熱衝撃性と絶縁耐力に優れており、製造用途における電子部品に最適なものです。
磁器は、クアーズテックがファインセラミックスとして最も長く供給し続けている製品で、釉薬をかけた後、磁器は優れた熱特性を示します。
CoorsTek GLASSUNは、低い熱膨張係数、高い熱衝撃耐性、低い熱伝導率、化学薬品や溶融金属に対する耐食性を備えた高純度のケイ酸塩耐火材料です。

○炭化ケイ素 | 熱安定性

炭化ケイ素(SiC)は、高温でも、高い硬度、耐摩耗性、耐食性、および、強度を示します。クアーズテックでも、以下のような特定用途の要件に適合するように、最適化された特性と機能を提供する、様々な炭化ケイ素プロセスと組成を設計してきました。

PureSiC化学蒸着(CVD)炭化ケイ素は、過酷な環境でも腐食に強く、99.9995%という高純度のクリーン製造に最適なものです。これは優れた熱衝撃耐性と長時間の高温製造プロセスに耐える能力が必要な、半導体製造で使用される急速熱処理プロセス(RTP)に最適な材料です。
UltraClean再結晶炭化ケイ素の粒子構造は、高純度を必要とする精密な製造に適した優れた熱材料特性を提供します。

○窒化ケイ素 | 高温強度と耐久性

窒化ケイ素(Si3N4)は、その独特な粒子構造により、優れた耐熱衝撃性とともに、高い強度と破壊靭性を実現します。この材料は、高い動的応力、熱の厳しさ、および、厳しい信頼性要件を伴う用途に最適です。
○ジルコニア | 高い耐熱性

ジルコニア(酸化ジルコニウム、ZrO2)には、優れた強度、高い破壊靭性、耐摩耗性、そして、高温耐性を兼ね備えた、独特な結晶構造でできています。ジルコニアの中には、微小亀裂が形成されると膨張する結晶構造で設計されているものもあり、それらは、亀裂の成長を阻止し、脆性破壊を防ぎます。こうした材料は、極端な機械環境、特に、衝撃を受けやすい用途に最適なものです。

マグネシア部分安定化ジルコニアは、高温耐性、耐久性、耐食性材料が必要とされる過酷な使用条件で使用され、過酷な用途の機械部品やバルブに最適なものです。
イットリア部分安定化ジルコニアは、非常に強く、極端な環境でも使用できます。これは、耐疲労性と優れた衝撃荷重に適合する絶縁特性を必要とする機械的用途に優れた材料です。

材料特性を踏まえることで最適なセラミックスを実現

先進セラミック材料の特性は、単独で見ると特徴的ですが、これらの材料を際立たせるのは、1つの特性によるものではありません。実際にセラミックスが優れているのは、それぞれの用途に対応した素材を設計できるからです。

クアーズテックでも個々の仕様を満たすように設計された先進セラミック材料を、400種類以上提供してきました。エンジニアは、最も厳しい要求特性から始めて、機械的、熱的、電気的、化学的特性を適切に組み合わせたセラミックスを見いだす作業を行います。また、製造可能性を考慮した設計も重要なポイントとなると言えるでしょう。セラミックスを活用したい企業は、材料に対する専門知識だけでなく、生産能力や加工技術など、さまざまな点を考慮したうえで、最適なパートナーを選択する必要があるでしょう。

本記事は米国CoorsTek社の発行したeBook「How Technical Ceramics Outperform Metals and Polymers」を邦訳・改編したものとなります

続きを読む ]

このエントリーをはてなブックマークに追加

ネタ・コラムカテゴリのその他の記事

地図を探す

今すぐ地図を見る

地図サービス

コンテンツ

電話帳

マピオンニュース ページ上部へ戻る