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Windows Server管理入門 - レガシーサーバのEoS対応編 第12回 ESUの価格変更と新しい購入オプション - 2012/2012 R2/SQL Server 2012

2023年08月30日07時00分 / 提供:マイナビニュース

当連載ではこれまで、Windows Serverのアップデートとそのための後継システムへの移行を進めるにあたり、「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update、ESU)」を利用して、最大3年間の時間的な猶予を得ることを前提としてきました。しかし、Microsoftは2023年7月に、Windows Server 2012/2012 R2およびSQL Server 2012向けESUの価格変更と、新しいESUの購入オプションを発表しました。今回はESUの変更内容とともに、新たな購入オプションを解説します。
年単位のESU価格はフルライセンスの100%に固定

連載第1回では、Windows ServerおよびSQL ServerのESUについて紹介しました。ESUはAzure上のインスタンスに対しては無料で提供され、追加設定なしでWindows Updateを通じてセキュリティ更新プログラムを入手できます。ESUが無料提供されるAzure上のインスタンスには、Azure Stack HCIクラスター上のHyper-V仮想マシンも含まれます。

オンプレミスやAzure以外のクラウド上のインスタンスの場合、ESUは年単位で購入する必要がある有料のサービスです。ボリュームライセンスプログラムを通じた購入とともに、Windows ServerではMAK(マルチライセンス認証)キーのインストール、SQL ServerではAzure Arcへの登録など追加設定が必要となります。

これまで、オンプレミス(およびAzure以外)でのESUは、エンタープライズ契約(Enterprise Agreement、EA)でソフトウェアアシュアランス(SA)を契約しているユーザーが1年ごとに購入することができ、その価格は1年目がフルライセンス料金の75%、2年目が100%、3年目が125%と段階的に増額されると紹介しましたが、この料金設定はSQL Server 2012の1年目までで終了となり、新たな価格設定は、次のように変更されます。

1年目のESU ・・・ フルライセンス料金の100%(ただし、SQL Server 2012の1年目ESUは75%)
2年目のESU ・・・ フルライセンス料金の100%
3年目のESU ・・・ フルライセンス料金の100%

この価格設定の変更は、次に説明する新しいESUの購入オプションに関係しています。なお、SQL Server 2012およびWindows Server 2012/2012 R2のライセンスは当時、物理プロセッサ数に応じたプロセッサライセンス(2物理プロセッサごとに1ライセンス)として販売されました。ESUのライセンスは、Windows Server 2016以降のコアライセンス体系に合わせて、SQL Server 2012が最小2コアパックから、Windows Server 2012/2012 R2が最小16コアパックからと、それぞれ物理/仮想コア数に応じて販売されます。

価格やライセンス要件などの詳細は、以下のFAQのページで確認することができます。

Plan your Windows Server and SQL Server end of support|Extended Security Updates frequently asked questions
途中で利用停止しても無駄にならない新たな月額サブスク

Microsoftは7月18日(米国時間)、新しいESUの購入オプション「Azure Arcを使用して有効化するESU(ESU enabled by Azure)」を発表しました。この新しい購入オプションは、「Azure Arc対応サーバー」で有効化することができ、Azureの請求に含まれる形の従量課金、つまり月額サブスクリプションのサービスとして利用できるのが特徴です。月額料金で利用できるため、オンプレミス(およびAzure以外)向けの年ごとのESUの購入と異なり、年の途中でESUの利用を終えたとしても、購入費用が無駄になることがありません。

また、オンプレミス(Azure以外)向けWindows Server ESUをWindows Update(または手動ダウンロード)で受け取るために必要なMAKのインストールが必要なく、Azureポータルの「Azure Arc」ブレードを使用して、ESUのアクティベーションと管理が可能になります。「Azure Arc対応サーバー」で利用できる「更新(Update Management)」や「ポリシー(Azure Policy)」機能もESUの展開に対応します。

新しいESUの購入オプションは、Windows Server 2012/2012 R2の1年目のESU(2023年10月11日~)、およびSQL Server 2012の2年目以降のESUから利用可能になります。従来のESU(無料のESUおよび1年ごとのオンプレミス向けESU)は引き続き提供されますが、新しいESUによる購入を検討している場合は、以下のドキュメントに従って2023年9月までにAzure Arcへのサーバの登録を済ませておくことをお勧めします。

Prepare to deliver Extended Security Updates for Windows Server 2012

登録作業は、Azureポータルで登録用PowerShellスクリプトを自動生成させ、それを対象のサーバのPowerShell上で実行するだけで完了します。Windows Admin Center(次回以降に詳しく説明します)を導入済みであれば、Windows Admin Centerの「サーバーマネージャー」や「クラスターマネージャー」からAzure Arcへの登録をGUIで行うことができます。なお、新しいESUは、一般提供開始までに購入可能となる予定です。

SQL Server 2012はすでに2年目のESU(2023年7月12日~2024年7月9日)が始まっていますが、10月から新しいESUでの課金が始まります(7月に9月までの一時的な課金がありました)。ただし、SQL Server 2012の1年目のESUを購入せずに2年目以降のESUを購入することはできないため、これからSQL Server 2012のESUを購入する場合は1年目のESU(コアライセンスの75%)も購入する必要があることに注意してください。

山市 良 やまいち りょう Web媒体、IT系雑誌、書籍を中心に執筆活動を行っているテクニカルフリーライター。主にマイクロソフトの製品やサービスの情報、新しいテクノロジを分かりやすく、正確に読者に伝えるとともに、利用現場で役立つ管理テクニックやトラブルシューティングを得意とする。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ: Hyper-V)を連続受賞。ブログはこちら。 主な著書・訳書 「インサイドWindows 第7版 上・下」(訳書、日経BP社、上2018年・下2022年)、「Windows Sysinternals徹底解説 改定新版」(訳書、日経BP社、2017年)、「Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版・改訂新版」(日経BP社、2016年・2019年)、「Windows Server 2012 R2テクノロジ入門」(日経BP社、2014年)などがある。 この著者の記事一覧はこちら

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