2023年04月19日11時15分 / 提供:マイナビニュース
●素のままで人生を楽しむ素晴らしさを改めて実感
“ぼさぼさ”とした自然体が愛らしいサンリオのキャラクター“ぼさにまる”がアニメ化。4月3日よりフジテレビ系情報番組『ノンストップ!』(9:50~11:25)の番組内で毎週月曜から木曜に放送されている。主人公のうさぎ・さくらの声を演じる上白石萌音にインタビューし、本作の魅力やさくらとの共通点、声優業への思いなど話を聞いた。
本作は、人と同じように言葉をしゃべるぼさぼさな動物“ぼさにまる”たちの物語。ある日突然、ぼさぼさ姿になった“ぼさうさ”さくらは、“ぼさる”自分に動揺するが、マイペースなベテラン“ぼさねこ” のキャシー、せっかちな性格の“ぼさはむすたー”の蘭と過ごしていく中で、次第に素の自分を受け入れていく。
上白石は、本作に惹かれ出演を快諾。「すごく魅力的な企画だなと。ただかわいいだけではない、ちょっとシュールで、どこか意味深な、すごくやりがいのありそうな光栄なお仕事だなと思いました」と述べ、「のほほんとしていますが、少し見方を変えるととても深くて、アフレコしていて面白いです」とすっかりハマっている様子だ。
演じるさくらのキャラクターにも惹かれたという。「見た目はすごくかわいらしいですが、それだけではない魅力があって、そこにハマってしまう感じがしました。いろいろなことに好奇心があって、キラキラしたものや素敵なものに憧れる気持ちを持ちながらも、冷静で客観的で斜めから見ている部分もあって、共感ができる子だなと思いました」
さくらを演じる際は、普段の姿のときと、ぼさっとしているときで、声のトーンを変えているそうで、「ぼさっとなる前は、私にはないハツラツさを出そうと頑張っていますが、ぼさっとしているところや、ちょっと引いているところは、普段のトーンでやっています」と説明。普段の上白石は「完全に“ぼさ”です(笑)」と話した。
さくらとの共通点を尋ねると、「力の抜け方や、ど真ん中の答えとは違う考えをしているところが愛しいなって。私も穿った見方をするタイプなので、わかるなと思います」と共感。普段からいろんな視点で考えるように心がけているという。
「天邪鬼なので、人と同じは嫌というのがあって、違う視点で見ようという意識もあります。作品を読むときや台本を読むときもなるべくいろいろな見方をしたいなと思いますし、一つに凝り固まらないというのは大事にしているところかもしれません。なので、さくらの視点にはっとしたりもします」
また、本作から素のままで人生を楽しむ素晴らしさを改めて感じたという。
「この作品は、いつも一生懸命かっちり生きていかなきゃいけない、みたいなものから解放してくれる気がします。ぼさっとしていてもいいじゃんって。そういう部分があったほうが人生って豊かだよねって。素のままの自分で一緒にいられる相手がいるというのもすごく素敵なことですし、そういう自分も受け入れて、今までと違う自分の新しい一面や個性、生き方を、力を抜いて楽しむってすごく素敵なことだなと思います」
上白石の素はどんな感じか尋ねると、「ローです(笑)。テンションが低く、ぬべーっと生きています(笑)」と回答。イベントやインタビューにおいても自然体で話してくれている印象があるが、「最近、そうなれてきたのかもしれません」と言う。
「前は、しゅっとしているときのさくらみたいな姿で常にいなきゃと思っていたのですが、最近はぼさっとしていてもいいかなって。そして、ちゃんとしなきゃいけないときはするというような。肩ひじ張らないで外にいられる瞬間は増えてきたかもしれません」
そして、素の自分でいられるようになってきたのは、「素のままでいられる相手がたくさんいるということだと思います」と語る上白石。経験を重ねる中でそういう人たちが現場でも増えてきたようだ。
また、「飾らずにそのままの自分で活躍されている方々にすごく魅力を感じます。それって一番強いじゃないですか。人前に立つときは飾らなきゃって思うし、よく思われたいと思ってしまいますが、自分を塗り替えるのは違うのかなって最近思います」と続け、「ギャップが少ないほうが生きやすい気がします」とも話した。
ギャップを少なくするという意味では、「素の自分を見せられるように普段の生活もしっかり生きたい。どっちも歩み寄りが必要」という意識もあるそうで、「プライベートでお友達と会うときなども、嫌な思いをさせないようにとか、どの瞬間が最後になってもいいようにという思いをなんとなくですが持っています」とプライベートにおいても瞬間瞬間を大切にしている。
●声の仕事からたくさんの学び「育てていただいた」
上白石といえば、大ヒットアニメ『君の名は。』(2016)の主人公・宮水三葉役や、『トロールズ ミュージック★パワー』(2020)の主人公・ポピー役などの声を演じたほか、数々の番組でナレーションも務め、声の仕事でも活躍しているが、今でも「難しい」と感じているという。
「いまだに『上手になれないな、上手になりたいな』と思いながらやっています。声優さんはしっかり学校で学んできた方々ばかりで、テクニックがすごいですし、そこに生きてきた感性も乗っている。映像や舞台など視覚も使えるものとは全く違う次元にあるので、尊敬してやまないです」
『ぼさにまる』では、キャシー役をお笑い芸人のヒコロヒー、蘭役を声優の種崎敦美(崎はたつさきが正式表記)が担当しており、違うフィールドで活躍している2人から刺激を受けたという。
「すごく不思議な化学反応が起きている気がします。それぞれ違うフィールドから来ているので、いろいろな感性が刺激される感覚があって、私はお二人が録ったあとに録ることが多いのですが、いろいろ引き出していただいているなという実感があります」
声優の仕事から気づくこともあるようで、「俳優業だけやっていたら見えなかったものや知りえなかったことをたくさん学んでいる気がします」と語る。
「技術がすごいんです。こういう声を出せば年齢を感じさせることができるとか、疲れたときの声や何か食べているときの声、心と声が相反しているときの声など、声優さんは全部声だけで表現される。引き出しとしてそれを勉強させていただいていることは今後強みになっていったらいいなと思います」
声の仕事によって表現の幅が広がり、「お芝居にも生きている」と普段の演技にもプラスに。
「特に舞台はいろいろな声を出さないといけないことが多いので、声優のお仕事で学んだ引き出しを開けています」と言い、「声のお仕事でいろいろな役や原稿を読ませていただき、その中で私ってこんな声もあるんだと気づくこともあったので、声のお仕事に私の声を育てていただいたという感覚もあります」とも話した。
これまでに日本アカデミー賞 新人俳優賞やエランドール賞 新人賞など数々の賞を受賞し、今年は舞台『ダディ・ロング・レッグズ』『千と千尋の神隠し』の演技を評価され、読売演劇大賞 最優秀女優賞を史上最年少で受賞。確かな演技力で舞台女優としても存在感を高めている。
現在25歳。映像や舞台、声優など、今後の活躍がますます楽しみだが、年齢とともに役も変わってきていると感じているという。
「20代前半は、まだまだ未熟で頑張らなきゃという役をいただくことが多かったのですが、いただく役もだんだん変化してきていて、よりいろんな面を自分自身も持っていないといけないなという実感が湧いてきているので、どんな役に出会ってもしっかり表現できるように自分を追いつかせていきたいです」
サンリオのキャラクターとの関わりも聞いてみると、「小さいときから大変お世話になっています」と満面の笑みを見せ、「キティちゃんは当たり前に好きでしたし、キキ&ララも、シナモン(シナモロール)、ポムポムプリン、けろけろけろっぴ、ばつ丸くんも好きでしたし、何でも好きでしたね」と次々とキャラクターを挙げていく。
今の推しは「ハンギョドン」で、ハマっているポイントは「異質感。我が道を行っている感じが愛おしいです」とのこと。「『サンリオキャラクター大賞』はいつも楽しみにしています。投票はしたことないんですけど、毎年ハンギョドン何位だろうって気になります」と明かした。
さまざまなサンリオのキャラクターを愛してきた上白石にとって、今回の『ぼさにまる』への参加は本当にうれしかったという。
「サンリオさんの新たなキャラクターに息を吹き込めるのは本当に光栄なことだなと思います。キティちゃんといったらあの声が再生されますし、キャラクターと声はすごく大切な関係性だと思うので、『ぼさにまる』をいろいろなところから愛してもらえるようにしっかり責任をもってやらないといけないと思っています」
そして、最後に『ぼさにまる』での野望を聞くと、「小さいお子さんがシールやぬいぐるみを集めてくれたらうれしいです。すごく愛されるキャラクターになってほしいです」と願いを込めた。
■上白石萌音
1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。2011年のNHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』でドラマデビュー。主な出演作は、映画『舞妓はレディ』(2014)、『君の名は。』(2016 ※声の出演)、『羊と鋼の森』(2018)、2021年度後期連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』、舞台『千と千尋の神隠し』『ダディ・ロング・レッグズ』(2022)、公演中の『ジェーン・エア』など。主演映画『夜明けのすべて』が2024年2月公開予定。エッセイ『いろいろ』や「翻訳書簡『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅」を執筆するほか、歌手としても活動し、23年1月には武道館ワンマンライブも開催した。