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おいしくて、深く心に染み入る山形・庄内の旅 第2回 「おいしい庄内」の多彩な食を味わってみた

2022年09月30日16時34分 / 提供:マイナビニュース

山形県の庄内地方は、空港名に「おいしい」と名が付くほどの美食の地。とくに鶴岡市は、日本で唯一のユネスコ食文化創造都市だ。鶴岡の人は幼少の頃からあまり外食はせず、各家庭で脈々と伝わる土地の旬の料理を食しているという。独自の食文化が根付く庄内で、この上ないグルメを堪能した。

○食通もすすめる美食の温泉宿、九兵衛旅館

実は今回の山形の旅で強烈に印象に残っているのが、「九兵衛旅館」(くへえりょかん)の料理だ。旅したのは7月初旬。夏にこの地でしか獲れない「ガサえび」「甘鯛」「活生蛸」「黒バイ貝」などの海の幸から、孟宗筍(5月が旬)などの山の幸、ほか、ふわふわとした初めての食感の茄子ソーメン、そら豆のムースなど……器や盛り付けもまるでアート。シメは鯛茶漬け。今、思い出すとすぐにでも予約したくなるほどの感動をいただいた。

おいしい米と海の幸で知られる新潟の食材研究家の友人も、この旅館は別格、と評している。

こちらは地獲れのガサえびと生蛸。ガサえびは日本海でしか獲れない幻のエビと言われており、甘エビよりもっと濃厚な味わいで虜になりそうだ。

ナスのソーメン。モチモチとした歯応えとナスの旨みが絶品。

本マグロ、ノドクロ、本マグロいぶりがっこ巻きの握り寿司……美味すぎて脳がフリーズしそう。と思ったら、料理長は元寿司職人さんだった。

大豆と庄内豚の八丁味噌角煮。ホロホロと崩れそうなくらい柔らかいお肉に山椒をかけていただいた。

こちらは朝ごはん。朝からイカ刺しが!! 長芋煮や毎朝豆乳から作るアツアツの豆腐など。忘れてならないのは、特別栽培のお米「つや姫」。

「鶴岡の奥座敷」と呼ばれる湯田川温泉は、和銅5年(712年)に開かれて以来、1300年以上の歴史をもつ。聞くところによると、山形県はほとんどの市や町で温泉が湧いているそうだ。羨ましい限り。

九兵衛旅館の先代の女将は、作家・藤沢周平が湯田川中学で教師をしていたときの教え子だったそうで、藤沢周平もこの宿を愛した、と伝えられている。

金魚の大水槽のお風呂もある。主人は古くから鯉や金魚に思い入れがあったそう。写真は中庭の池の鯉。

朝は中庭で淹れたてのコーヒーがいただける。

●九兵衛旅館
住所: 山形県鶴岡市湯田川乙19
アクセス: 庄内空港より車で約22分

○日本酒のセレクトが秀逸すぎる! つかさや旅館

九兵衛旅館から徒歩1分のところにあるのが、つかさや。こちらも庄内オリジナルの食材へのこだわりは負けていない。庄内の食と日本酒が楽しめる宿として、リピーターも多い。

素潜りで獲る由良の岩ガキ、底引き網からのマグロ、スズキ、黒バイ貝、もずくなど、夏の旬の魚介が並ぶ。豚肉は山伏ポーク、固有種のトノジマキュウリ、ツルムラサキ、アスパラガス、赤カブも地のもので、お米は近くの契約農家から仕入れ、炊き込みご飯には「はえぬき米」、朝ご飯は「つや姫」を使っている。

6種類の利き酒を試してみた。ちなみに日本酒はすべて山形産で、10種類の場合、1から10まで、軽い味わいからだんだん重くなっていくという。いただいてみた6種は、どれも好みの、というかそれぞれに旨みが違うレベルの高い日本酒ばかり。利き酒は6種が2,200円、10種が3,500円となる。2食付きで宿泊費は1万7,000円~。

●つかさや旅館
住所: 山形県鶴岡市湯田川乙52
アクセス: 庄内空港より車で約22分

○美しい料理で酒もすすむ高級居酒屋、庄内ざっこ

鶴岡の繁華街で「おいしい肴とお酒」を、という人におすすめのお店。四季折々のお料理とこだわりのお酒がいただける。

こちらのお料理は、右の皿からサザエの磯煮、もずく、トウモロコシのムース、芽カブとホタテ、左のお皿はゴーヤ肉味噌炒め、甘鯛の海焼き、上の揚げ物は、鮎のアスパラ巻き、ゴールドラッシュのかき揚げなど。

お造りは、ヒラメ、甘エビ、シマアジ、鯛。日本酒は、好みを伝えて選んでもらうとよいだろう。

●庄内ざっこ
住所: 山形県鶴岡市本町1-8-41
アクセス: 庄内空港より車で約25分

○癒しのファーム・トゥ・テーブル、知憩軒

資料によると、日本の農家民泊ランキングで1位という「知憩軒」(ちけいけん)。

伺ってみると、笑顔の穏やかな農家のお母さん、長南光(ちょうなん・みつ)さんが猫と一緒に迎えてくださった。

農泊は今年で23年目、レストランを始めて19年という光さん。自宅の畑で採れる野菜を使って、自分が幼少のころから食べてきた家庭料理を提供している。

野菜、保存食は光さんの手作りだ。「自分が舌で覚えた味を、伝えていくだけなのです」と光さん。たとえば、干物を使ったみがきニシン、切り干し大根、しその実の塩漬けなど。バランスの取れた、体と心にやさしいランチをいただいた。

庄内地方は、古来の在来種野菜が多く残る日本でも珍しい場所。このレストランで猫と戯れ、しばし、昔育った実家のわが家のように寛いてみたい。

●知憩軒
住所: 山形県鶴岡市西荒屋字宮の根91
営業時間: 農家レストラン 11:30~14:00(L.O13:30)
休日: 火・水曜、12~2月
アクセス: 庄内空港より車で約37分

○鶴岡駅から歩いて行ける穴場カフェ、フルーツショップ青森屋

庄内地方は、果物の産地としても知られている。さくらんぼはもちろんだが、とくに鶴岡市のネットメロンは有名で、全国第4位の生産高を誇る。庄内地方の日本海沿岸には、南北に約35kmの庄内砂丘が広がり、海から西風が吹き、地下水もあることからメロン栽培に向いているという。鶴岡市で栽培される種類はアンデス、鶴姫メロン、鶴姫レッドメロンの3種類。

それらのうち、アンデスと鶴姫レッドのメロンをいただけるのがこちらのカフェだ。庄内産のいちごやメロンなど、季節の果物を使ったフルーツタルトや生ジュースなどがある。

●フルーツショップ青森屋
住所: 山形県鶴岡市末広町7-24
営業時間: 8:30~19:00(タルトとカフェは10:30~19:00)
アクセス: 庄内空港より車で約20分
●JA鶴岡 メロン直売所
住所: 山形県鶴岡市茨新田1-4
営業時間: 9:00~17:00(夏期のみ。詳細は現地で確認のこと)
アクセス: 庄内空港より車で約7分

○その日獲れた魚介をいただくフレンチ、ル・ポットフー

鶴岡市から北へ約23km、車で30分ほど行くと酒田市に入る。酒田市といえば、古くから日本海と最上川の交易の要として発展してきた商業の町。酒田というと魚介スープの酒田ラーメンを思い浮かべる人もいるかもしれないが、日本一といわれたフランス料理店がある。酒田駅前にあるル・ポットフーだ。

サクラマスやノドグロ、越中バイ貝、岩ガキ、寒ダラなど、庄内で獲れる旬の魚介をメインに、素材を生かすフランス風郷土料理が基本。創業は1974年、作家の開高健や写真家の土門拳などから愛され、「裏日本随一のフランス料理」と評された。

この日は、前菜が紅ズワイガニと枝豆のゼリー寄せ。グリンピースのスープ。

メインは平目のソテー。

日替わりランチは前菜、スープ、メイン、デザート、コーヒー付きでなんと2,200円! 観光の合間に、ぜひ立ち寄ってみたい名店だ。

●ル・ポットフー
住所: 山形県酒田市幸町1-10-20
営業時間: 11:30~15:00(ラストオーダー14:00)
18:00~21:00(ラストオーダー20:00
休日: 毎週水曜(祝日は営業)
アクセス: 庄内空港からの所要時間は車で約23分

取材協力: 庄内空港利用振興協議会
※庄内空港利用振興協議会は、県や庄内地域の市町を中心に構成され、庄内空港の利便性と利用者拡大に向けた活動をしています。

旅行ジャーナリスト&編集ディレクター : 鈴木幸子(らきカンパニー) すずきさちこ 出版社勤務や地球の歩き方編集を経て2001年に独立し、有限会社らきカンパニー設立。世界60か国以上を頻繁に取材し、一期一会の旅リポートを発信中。著書に『もち歩きイラスト会話集タイ』(池田書店)ほか。JTBるるぶ『アンコールワットとカンボジア』初版制作を担当。 この著者の記事一覧はこちら

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